宵空で急増光中、くじら座の変光星ミラ

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この春に極大を迎えると予想されている変光星、くじら座のミラが、この1週間で約1等級も明るくなってきた。観測条件はあまり良くないが、できる限り変化を追ってみたい。

【2025年2月12日 高橋進さん】

くじら座のミラはおよそ330日ほどの周期で明るさが変わる変光星です。この周期はその時々で変化し、短い時は304日、長い時は355日にもなることもあります。また、光度変化の範囲も通常は3等から9等台半ばくらいまでですが、1779年にはおうし座の1等星アルデバラン(0.9等)に匹敵するほど明るくなったとの記録もありますし、反対に極小光度が10等以下になったこともあります。

今シーズンのミラは3月初旬から4月初旬に極大を迎えると予想されていますが、2月になり急速に明るさを増してきています。日本変光星観測者連盟(VSOLJ)に寄せられた報告によると、2月2日に4.8等だったのが2月9日には3.9等で観測されていて、1週間で0.9等も明るくなっています。極大日の予想には幅がありますが、いずれにしてもまだ1か月くらい先とみられています。現在の明るさや増光の様子から考えると、今年の極大は例年以上に明るいものになるかもしれません。

ミラの2023~2025年の光度
ミラの2023~2025年の光度(VSOLJメーリングリストのデータから高橋さん作成)

ただ、残念なことに春になると太陽の位置がミラに近づき観測を妨げるため、日本からは夕空のミラは3月中旬ごろまでしか観測できません。その後、明け方にミラの観測が再開できるのは6月下旬くらいです。上の光度曲線にあるように、ここ数年はミラの極大期が春になり、極大日が算出しづらい時期が続きましたが、今年は数年ぶりに極大期の観測ができるかもしれません。夕空に見えている間にミラがどこまで明るくなるのか、非常に興味深いところです。

ミラ周辺の星図
ミラ周辺の星図(「ステラナビゲータ」で星図作成)

春先のミラは、夕方から宵の早い時間帯に南西の低空にあります。観測条件はあまり良くないですが、明るい極大になることが期待される状況を含め、可能な限り長くミラの光度変化を追いかけたいところです。ぜひ、夕空で極大を迎えようとしているミラを観測してみませんか。

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