急速に明るさを増していく、くじら座の変光星ミラ

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くじら座の胸元に光る長周期変光星のミラが、来年1月ごろの極大期を前にして急速に増光中だ。日に日に明るくなっていく様子を観察しよう。

【2025年12月23日 高橋進さん】

くじら座のミラはおよそ332日の周期で明るさが変わる変光星で、ミラ型変光星と呼ばれるタイプを代表する星です。星が膨張と収縮を繰り返すことで明るさが周期的に変化し、最も明るいとき(極大)は約3等級、最も暗いとき(極小)には約9等級になります。

今シーズンのミラは10月下旬におよそ9等級の極小になり、その後はゆっくりと明るさを増してきていました。状況が変わってきたのは12月になってからで、12月1日の8.6等から急激に増していき、12月18日には6.0等と肉眼等級に達しました。毎日0.1~0.2等と、急速に明るくなっています。

ミラの2024~2025年の光度
ミラの2024~2025年の光度(VSOLJメーリングリストのデータから高橋さん作成)

この急速な光度上昇は年末くらいまで続くと思われ、12月末には3等台になって肉眼でもその姿をはっきりと見ることができそうです。2週間前には望遠鏡で見ても小さな暗い光点だったのが、ほんの1か月のうちにくじら座の胸で明るくその姿を輝かせる星になる様子は、ミラという名前の由来である「驚きの星」の通りです。

2026年1月には極大期になり、光度変化は緩やかになるとみられます。ミラの極大は、明るい時は2等にまでなることもある一方、暗い時は5等以下のこともあります。現在の状況を見ると、今回はおそらく3等程度にはなりそうですが、引き続きその光度変化の様子を見ていく必要があります。

約11か月周期の変光を見せるミラですが、これから年末までがその周期の中で最も見どころの期間です。ミラのダイナミックな変光の様子を、ぜひお楽しみください。

ミラ周辺の星図
ミラ周辺の星図。土星や2等星ディフダ、明るめの3等星メンカルが目印(「ステラナビゲータ」で星図作成)

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