はじめに
前回は月面の全体像を写すという直焦点法を紹介しましたが、やはりもっと拡大をして写したいという欲望がふつふつとわいてくるのは、抑えきれない人間の業のようなものでしょう。その拡大撮影法について紹介したいと思います。今回は、カメラの取り付けの方法等を、そして次回は拡大撮影のコツについて案内します。
拡大撮影の方法
1枚目の画像は、BORG125SDの接眼部をアップしたものです。画像には、別売のマイクロフォーカス接眼部【9789】が写っていますが、拡大撮影の場合、カメラとカメラアダプターの負荷が接眼部にかかりますので、このような丈夫な接眼部の使用が望ましいです。
マイクロフォーカス接眼部は2インチの取り付けになっていますので、ボーグのアダプター【7425】でM57に変換して、カメラアダプターのベストセラーSD-1X【7410】を装着します。SD-1Xは2分割できて、SD-1X(A)の方にあらかじめ、接眼レンズ(画像はLV25)を差し込んで、撮影する対象を導入し、おおまかなピント合わせを済ませておきます。接眼レンズの倍率を高くすれば当然大きな画像になりますが、その分、露出もかかり、星も動くので、ぶれやすくなります。従って、やや低めの倍率に抑えておくことがポイントです(詳しくは次回、解説します)。
2枚目の画像は、カメラアダプターSD-1Xのもう一方の部品SD-1X(B)にカメラを装着したまま、SD-1A(A)にはめているところです。SD-1X(B)には、カメラマウントホルダーM【7000】とカメラマウント各社用(10種あります。画像は【5010】)が装着されています。
3枚目が、拡大撮影用パーツの装着が完了した写真です。なかなかメカニックで格好いいでしょう。メカ好きの方はしびれるかも?4枚目の画像のカメラはオリンパスのフラッグシップモデルであるE-3で、液晶モニターの角度が変えられるのが特長です。天体のように上を向ける場合には大変重宝する機能です。当然、ライブビュー機能がありますから、構図もピント合わせも首を曲げる必要がありません。なお、マイクロフォーカス接眼部はピント合わせが2段階あり、黒いノブを回すととても細かいピント調整が出来ますので、微妙なピント合わせに大きな威力を発揮してくれます。
5枚目は、ボーグパーツを利用した便利な使い方を紹介した画像です。今回紹介した拡大撮影法は投影法ともいい、接眼レンズで投影された像を一眼レフカメラで写し撮るという手法です。投影法ということは、接眼レンズとカメラの間の距離を変えることにより、拡大率も変わるということです。画像でご紹介したM57ヘリコイドLII【7860】は全長を36mm、無段階で変更できるので、SD-1Xとカメラの間に入れると、ズームの役割を果たすので便利です。また、ここで最終的なピントを追い込むことも可能です。ボーグパーツならではの技です。他にもまだまだ裏技がありますが、それは次回のお楽しみに。
まとめ
さて、いかがでしょうか?拡大撮影をしたくなってきましたか?とにかく大きく写りますから、「大きく写したい願望」はとりあえず満たされるわけです。月も惑星((右)木星の画像)も大きく写ります。じゃあそれで満足するか?というと答えはNOです。ここから奥深い拡大撮影の世界が待っているのです。次回は、そんな拡大の沼(?)にご案内します。この手法、実は天体だけでなく、野鳥撮影にも応用できます。恐らくこの手法で野鳥をまともに撮った方はほとんどいないと思いますが、上下逆さになることを厭わなければテレコンバーターよりもはるかにシャープな拡大画像が得られる可能性を秘めています。が、「山高ければ谷深し」で、そう簡単にはいかないのです。次回はそのあたりのコツについてご紹介しましょう。今回は天気が悪くて思うような作例が得られていませんが、次回までには晴れ間を狙って、これはという画像を紹介したいと思います。