火星探査車オポチュニティがとらえた、赤い惑星の青い太陽
【2010年12月27日 NASA (1)/(2)】
火星探査車オポチュニティが今年11月に撮影した太陽の映像が公開された。衛星フォボスによる日食と、火星での日没のようすを動画で見ることができる。
NASAの火星探査車オポチュニティから、青い太陽の美しい映像が届いた。
ひとつめは、11月9日に撮影された、火星の衛星フォボスによる日食。火星からの見かけの大きさはフォボスの方がずっと小さいので、地球での皆既日食のようにコロナやプロミネンスが見えることはないが、青く欠けた太陽の姿はとても幻想的だ。下記<参照>のリンク先では、32秒間の食を4秒間隔でとらえた画像に補間フレームを追加したほぼ等倍速の動画を見ることができる。
もうひとつは、11月4日と5日に撮影した映像を合成して作られた日没のようすだ。17分間の出来事を30秒に速めている。
これらの映像はただ眺めて美しいだけではなく、れっきとした科学的資料でもある。フォボスによる日食を何回かにわたって記録すると、フォボスの軌道の細かな変化がわかり、火星がフォボスに及ぼす重力、ひいては火星内部の重力場を知る手がかりになる。また、夕日を観測することによって、火星の低層大気に含まれる塵の性質を調べることができるのだ。
2004年に火星に着陸した探査車オポチュニティはこれらの映像を撮影したあとの12月16日、直径90mの「サンタマリアクレーター」に到着した。そこで数週間の観測を行ったあと、次の主要目的地であるエンデバークレーターに向かう。