幻の流星雨、再来ならず
【2013年6月12日 American Meteor Society】
1930年にアメリカで目撃された突発的な流星雨が今年6月11日に再出現するとの予測から、条件の良い南北米で観測が行われた。目立った活動は見られなかったが、同じ起源の可能性がある流星がいくつか観測されている。
いるか座のγ(ガンマ)星のあたりを中心(放射点)とする突発的な流星雨が6月11日に出現するという予測に基づいて、米流星協会(AMS)などの呼びかけで南北米を中心に観測が試みられた。
この「いるか座γ流星群」は1930年6月11日に突発的な出現を見せ、米メリーランド州で約30分間に51個の流星が目撃された。目撃者が3人だけで後年も観測されなかったため、この現象の信憑性を疑うむきもあったが、Peter Jenniskensさん(SETI研究所)は、「これは長周期彗星の残した塵による流星群であり、当時の記録の精度が高ければ83年後の今年に再出現する」という可能性を指摘していた。
予測された極大時間は日本では午後5時半ごろに当たるため見られなかった。条件の良い時間帯に当たったアメリカやブラジル、メキシコなどからの報告を受けたAMSによれば、流星雨というほどの目立った活動はなかったものの、83年前のものと同じ由来の可能性がある流星や明るい火球がいくつか観測・撮影されている。天候などの条件に左右されない電波観測でも通常より多数の兆候が検出されているが、流星群との関連は確認されていないという。