惑星形成モデルを書き換える?とても冷たい空飛ぶ円盤

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アルマ望遠鏡などの観測により、若い星の周りの原始惑星系円盤の外縁部に含まれる大きな塵の粒子の温度が初めて測定され、塵が摂氏マイナス266度であることが突き止められた。予想よりずっと低いこの温度は、従来の惑星形成モデルを書き換えるほどの衝撃を与えるものとなっている。

【2016年2月24日 アルマ望遠鏡

仏・ボルドー天文台のStephane Guilloteauさんたちの国際研究チームが、地球から約400光年離れたへびつかい座ρ(ロー)星の星形成領域にある若い星「2MASS J16281370-2431391」の周りの大きな塵の粒子の温度を測定した。

この星はガスと塵の円盤に囲まれており、円盤内は惑星形成の初期段階にある(原始惑星系円盤)。地球からは円盤をほぼ真横から見る位置関係にあり、可視光線で撮影された姿から「空飛ぶ円盤」と呼ばれている。

「2MASS J16281370-2431391」の周りの原始惑星系円盤
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、へびつかい座ρ星の星形成領域の若い星「2MASS J16281370-2431391」の周りの原始惑星系円盤(提供:Digitized Sky Survey 2/ESO/NASA/ESA)

アルマ望遠鏡による円盤の測定と、スペイン・IRAM30m望遠鏡による背景の星雲の観測とを組み合わせたところ、中心の星から150億kmの位置にある塵の粒子の温度が摂氏マイナス266度(絶対零度よりわずか7度高いだけ)しかないことが明らかになった。同種の天体で、1mmほどの大きな塵の粒子の温度を直接測定したのは、今回が初だ。

最新の惑星形成モデルが予測する温度は摂氏マイナス258度~マイナス253度だが、今回測定された温度はその予測よりも低い。不一致を説明するため、たとえば「温度は粒子の大きさに依存し、大きな粒子は小さなものより冷たい」といったアイディアが考えられるが、まだ確証はない。

もしこれほどの低温がありふれた特徴だとすると、円盤の形成や進化についても再考が必要となる。塵の粒子がぶつかり合うときに何が起こるのか、惑星形成において塵がどんな役割を果たすのかといった事柄にも影響が生じるからだ。

また、より小型な円盤を考える上でも、塵の温度が低いことは大きな影響がある。塵の量を計算する時にはあらかじめ温度を仮定するが、温度が低いと電波が弱くなる。小型円盤が現在の予測よりも低温の粒子で構成されているとすれば、観測される電波強度を生み出すためには想定より多くの物質を含んでいることになる。これは、中心星から比較的近いところで巨大惑星が形成されうることを意味する。

より詳しい理解のためには今後さらなる観測が必要だが、今回アルマが発見した冷たい塵は、原始惑星系円盤を理解する上で重要な知見となった。

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