梅雨が明け、すっかり夏空。午後5時半に渋谷のオフィスを出発、夕食をとって現地に着いたのが8時ちょうど。
夏の天の川が海から立ち上っている。夏の星雲・星団の撮影日和だ。最高感度、短時間露光、ノータッチガイドのお気軽撮影だ。
すぐに機材を組み立てる。車に積んだままにしていた赤道儀が熱をため込んで暑い。幸いなことに、強い海風がすぐに冷やしてくれる。カメラと赤道儀、PCの配線を終えたら、ステラショットを起動して接続する。
次に、鏡筒をテレスコープイーストで天頂に向ける。
ステラショットで天頂設定をする。これで初期設定は完了だ。
望遠鏡にはファインダーをつけない。また、ハンドコントローラもつなげない。なぜなら使う必要がないからだ。
最初のターゲットは、ほぼ天頂にあるM13。おすすめ天体でもラブジョイ彗星についで二番目だ。
まずは、ピント合わせと正確な同期をするため、すぐ近くのヘルクレス座40番星を導入する。早速ISO 12800の5秒露出で撮影する。
少しずれているのは当然。これまでなら、ここでハンドコントローラで真ん中になるように調整して「同期」を行うところだが、ステラショットではここで「導入補正」ボタンを押す。すると次のダイアログが表示されるので、「導入天体を中央」をクリックする。
すると、ものの十数秒で画像中央の座標を解析して、正確な同期位置を赤道儀に自動的に設定してくれる。再度撮影すれば、どんぴしゃの真ん中になっている。
ここでピントを合わせる。前回撮影した時からドロチューブを動かしていないので、ピントはほぼ合っている状態だ。鏡筒の先端に「バーティノフマスク」を取り付ける。バーティノフマスクは、一見、風呂の排水口につけるネットのような形をしているが、これを取り付けると恒星のまわりにパターンが出るようになる。このパターンが点対称になるようにピントを調整すると、ジャスピンになるという優れものだ。
ライブビューに切り替えて恒星像を拡大すると、次の画面のようになる。
ピントが合ったらバーティノフマスクを外して、M13を導入する。ここで、念のため「導入補正」をかける。
次に、ブラケット機能を使って、30秒、60秒、120秒の撮影をする。
撮影した画像とともにヒストグラムが表示される。バックグラウンドが3分の1から4分の1になるくらいの露光が適正だ。M13は60秒露光でいくことにする。外気温が27度もあり、また、車中にあったカメラが熱くなっていることもあって、ダークノイズが派手に出ている。そこで、ダークフレームを先に撮影する。
ダークフレームを3枚撮影してから、M13を10枚撮影する設定をして実行。その間は双眼鏡で夏の天の川など星空散歩を楽しんだ。撮影が終わるたびに画像を確認しながら、都合30枚撮影。画像処理をしたものが次の画像だ。
M13の次は、M20を狙う。導入をして同じく5秒露出。
中央にぼんやり写っているのがわかる。導入補正を実行するには、これだけ星が写っていれば十分。導入補正をしてM20を真ん中にする。
M13と同様に、ブラケット機能を活用して露出を決める。M20は南の中天にあるので、45秒露出とする。これも10枚ずつ3回に分けて撮影した。
ノーマルの70Dなので、赤い散光星雲の写りはあまりよくないため、露出で稼ぎたい。今回は約20分の露光となる。お手軽撮影としては十分だろう。
ステラショットを使うと天体の撮影に集中できるので、露光中はゆったりと星を眺めることができる。
このあともいろいろな天体を撮影していたが、ついに東の空からすばるがのぼってきてしまった。今日も午前中からハンコを待っている書類がオフィスの机の上に積んであることを思い出し、残念ながらこれで退散だ。
次回はカメラと望遠鏡のワイヤレス制御に挑戦しようかと思う。