はじめてのステラショット

#4 オートガイドの準備

ガイド撮影とは

#3 導入・撮影しよう」では、ステラショットと望遠鏡を接続して天体を追尾撮影する手順を紹介しました。

しかし、単純に赤道儀のモーターだけで追尾する場合、天体を止めて写せるのは1〜2分の露出が限度で、これより長い露出時間では恒星が線状に流れて写ってしまうことが多いです。

これは、

  • 極軸合わせの誤差
  • 赤道儀のピリオディックモーション
  • 鏡筒のたわみ
  • 大気差

などいろいろな影響によって、カメラに写る天体がどうしても露出中にわずかながら動いてしまうためです。

このため、長い露出でも天体をきちんと止めて撮影するためには、撮影中ずっと星の動きを監視して、星がある程度以上ずれたら引き戻す操作を絶えず行う必要があります。

このような撮影方法を「ガイド撮影」と呼び、ガイド撮影に使う恒星を「ガイド星」と呼びます。

ガイド撮影を行うためには、撮影用の鏡筒(またはカメラレンズ)とは別に「ガイド鏡」という鏡筒を別途赤道儀に載せる必要があります。

※ オフアキシスガイドについて

ガイド鏡を使わず、撮影用鏡筒の接眼部に「オフアキシスガイダー」と呼ばれる装置を装着して光路を分岐して、1本の鏡筒で撮影用カメラとオートガイダーの両方を使う方法もあります。

この記事ではガイド鏡を使った基本的なオートガイド方法を解説します。

オートガイド

昔のガイド撮影では、露出時間の間ずっとガイド鏡を肉眼で覗き、ガイド星が視野の中央からずれてきたら赤道儀のハンドコントローラーの微動ボタンを押して引き戻す、というやり方で撮影を行っていました。

現在はこのしくみが自動化され、ガイド鏡の接眼部に「オートガイダー」と呼ばれるガイド専用の小型カメラを装着して、ガイド星の撮影とガイド補正の動作をオートガイダーが自動的に行うのが普通です。このやり方を「オートガイド」と呼んでいます。

ステラショットでは Ver.1.5 以降でオートガイダーの制御に対応しています。対応しているオートガイダーの機種については製品仕様ページをご参照ください。

機材の準備

オートガイドには、「#3 導入・撮影しよう」までで使った機材に加えて以下の機材を使います。

ガイド鏡
オートガイダーでガイド星を写すための鏡筒です。
焦点距離が長いほど高精度のガイディングができますが、まずは400-600mm程度のもので OK です。
ガイド鏡
オートガイダー
ガイド星を撮影し、またガイド補正の信号(ガイドパルス)を赤道儀に送ることができるオートガイド専用のカメラです。
オートガイダー
オートガイドケーブル
オートガイダーと赤道儀の「オートガイド」端子を接続してガイドパルスを送るための専用ケーブルです。
オートガイドケーブル
プレート
撮影用の光学系とガイド鏡とを赤道儀に同架するためのプレートです。
プレート

赤道儀にプレートを取り付け、プレートの上に撮影用の鏡筒(またはカメラレンズ)とガイド鏡を並べて取り付けます。ガイド鏡の接眼部にオートガイダーを装着します。

※ ガイド鏡はどこに向ける?

撮影用の鏡筒と同じ向きに取り付ければ OK です。

両者を厳密に平行にする必要はありませんが、全く違う方向に向いていると、撮影用カメラの写野とオートガイダーの写野で天体の動き方が違ってしまい、正しいガイドができませんのでご注意ください。

※ ガイドマウント(微動雲台)は不要?

最近のオートガイダーは感度が飛躍的に向上し、夜空のどこに向けても数個以上の恒星が楽に写るようになりましたので、ガイド鏡を独立して動かす「ガイドマウント」は必ずしも必要ではありません。ガイド鏡を直接プレートに取り付けてオートガイドができます。

オートガイダーをつなぐ

次にオートガイダーと PC・望遠鏡をケーブルでつなぎます。

オートガイダーには二つの接続端子があります。

(A) PC との接続端子
制御ソフトとのコマンド送受信、ガイド星の画像を制御ソフトに送信、電源供給に使う
(B) 望遠鏡との接続端子
望遠鏡にガイドパルスを送る

オートガイダーの接続端子

(A) の接続には USB ケーブルを使います。(オートガイダーの電源も USB 経由で PC から給電されます)

(B) の接続については、オートガイダーのモジュラー端子(電話線の RJ-11 と同型のコネクタ)と望遠鏡の「オートガイド」端子とをオートガイドケーブルでつなぎます。

オートガイダーにケーブルをつなぐ

※ オートガイドケーブルの流用に注意!

多くのオートガイドケーブルには、RJ-11 と同じ端子形状のモジュラーケーブルが使われています。

しかし、ケーブル内部の信号線の配置はオートガイダーによって違います。「SBIG 規格」や「ST-4 互換規格」と呼ばれるオートガイドケーブルが多いですが、この二つは結線が逆です。

端子の形が同じだからといって別のケーブルを流用すると、正しくガイドが行えなかったり、最悪の場合は赤道儀を破損しますので、必ず専用のケーブルをお使いください。

※ オートガイドケーブルなしでオートガイドできるか?

はい、できます。

オートガイドソフトによっては (B) のオートガイド端子経由の接続を使わず、望遠鏡の「PC 接続端子」(シリアルまたは LAN 接続)の方に普通の微動コマンドを送ってガイドできるものがあります。

この方法を「パルスガイド方式」と呼び、オートガイドケーブルが不要になる利点があります。ただし望遠鏡の微動でガイド補正をするため、引き戻し量が大きすぎたり小さすぎたりしてうまくガイドができない場合もありえます。

パルスガイド方式に対して、オートガイド端子を使う通常のオートガイドを「オンカメラ方式」と呼びます。ステラショットは両方に対応しています。(※ どちらの方式を使うか、ステラショットのオートガイド設定ダイアログで指定してください)

パルス出力設定

デバイスドライバのインストール

初めてオートガイダーを PC に接続する際には、オートガイダーの「デバイスドライバ」をインストールする必要があります。

お使いのオートガイダーの取扱説明書等を参照して、デバイスドライバのインストールを完了してください。

Windows のデバイスマネージャにオートガイダーの名称が表示されればデバイスドライバのインストールは正常にできています。

QHYCCD のオートガイダーの例
QHYCCD のオートガイダーの例
Starlight Xpress のオートガイダーの例
Starlight Xpress のオートガイダーの例