星の群れ「アソシエーション」に新メンバーが大量加入
【2018年9月3日 カーネギー研究所】
「アソシエーション」とは、天の川銀河の同じ場所で同時期に生まれたと考えられる、年齢や化学組成が似た星の集団だ。星の数は数十個から数百個で、通常の場所よりもやや星が多いものの、散開星団ほど密集しているわけではなく、星同士が重力で結び付いていることもない。よく知られたアソシエーションとしては、北斗七星のうち5個の星が属している「おおぐま座運動星団」などがある。アソシエーションの年齢は数百万歳から数十億歳までと様々で、こうしたアソシエーションの星の年齢を調べることで、太陽近傍の星々の進化の様子を大まかに知ることができる。
米・カーネギー研究所のJonathan Gagnéさんとアメリカ自然史博物館のJacqueline Fahertyさんは、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」の第2期データ(Gaia Data Release 2; DR2)を使い、太陽から150パーセク以内の距離にある27個のアソシエーションと同じ運動をしている星を調べた。その結果、これらのアソシエーションに属する可能性の高い星が新たに約1000個見つかり、31個は確実にこれらのアソシエーションのメンバーであることがわかった。
「アソシエーションの星々は空を飛ぶ鳥の群れのように同じ速度を持っていることから、互いに関連のある星だということがわかります。このことから、星の年齢や組成についての情報も得ることができます。今回新たにアソシエーションのメンバーだとわかった星々のほとんどは、太陽よりも小さくて温度も低い『赤色矮星』です。小さく暗いために観測が難しい天体ですが、天の川銀河の中では非常にありふれた存在です。ガイアのデータが今回の大きな成果をもたらしてくれたのは、この大量の赤色矮星のおかげです」(Gagnéさん)。
これらの星々を調べることは、将来の宇宙ミッションでアソシエーションの中から見つかるであろう惑星や惑星に似た天体を理解することにもつながるかもしれない。
「NASAの系外惑星探査衛星『TESS』のような将来のミッションで太陽近傍の恒星に系外惑星が見つかった場合、アソシエーションのメンバーかどうかという観点で私たちが集めた恒星の年齢情報が、『時代ごとに惑星系の進化はどのように見えるか』という疑問に大きな手がかりを与えてくれるかもしれません」(Fahertyさん)。
Gagnéさんたちは、アソシエーションを構成する大量の赤色矮星を見つけただけでなく、アソシエーションに属する褐色矮星も111個発見した。褐色矮星は「星のなりそこない」または「スーパージュピター」と呼ばれる天体で、恒星よりも質量が小さいために水素の核融合反応を持続できず、自力で輝くことはできないが、巨大惑星よりは質量が大きいという天体だ。褐色矮星はいわば天文学と惑星科学とを結ぶ存在として非常に興味深い天体であることから、今回発見された褐色矮星についても研究が進むことが期待される。
〈参照〉
- Carnegie Institution for Science:Stellar “swarms” help astronomers understand the evolution of stars
- The Astrophysical Journal:BANYAN. XIII. A First Look at Nearby Young Associations with Gaia Data Release 2 論文
〈関連リンク〉
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