天の川銀河とアンドロメダ座大銀河の未来

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位置天文衛星「ガイア」による星の動きの観測から、天の川銀河とアンドロメダ座大銀河の衝突が起こる時期は約45億年後で、これまでの見積もりよりも6億年先らしいことが示された。

【2019年2月14日 ヨーロッパ宇宙機関

私たちがいる太陽系は天の川銀河の中にあり、その天の川銀河は50個ほどの銀河からなる「局部銀河群」と呼ばれる銀河のグループに属している。天の川銀河から約250万光年ほど離れたところにある渦巻銀河、アンドロメダ座大銀河(M31)とさんかく座銀河(M33)も、局部銀河群を構成する一員だ。

過去の研究で、天の川銀河とアンドロメダ座大銀河は近づきつつあり、数十億年後には衝突することが示されていた。とはいえ、銀河の3次元的な動きははっきりとわかっておらず、天の川銀河の未来予想図もまだ不明確である。

米・宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)のRoeland van der Marelさんたちのチームは、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」の観測データを用いて、銀河がどのように動いているのかについて研究を行った。「ガイアの主目的は天の川銀河に含まれる恒星の位置と動きを調べることですが、近距離にあるアンドロメダ座大銀河やさんかく座銀河に含まれる大質量の明るい星についても観測ができました。そのデータから、これらの星が銀河内をどのように公転しているかを調べました」(STScI Mark Fardalさん)。

「今回初めて、アンドロメダ座大銀河とさんかく座銀河の回転の様子を測定しました。銀河の性質を理解する助けとなるでしょう」(van der Marelさん)。

アンドロメダ座大銀河内の星の動き
アンドロメダ座大銀河内の星の動き。黄色い矢印は、それぞれの位置にある星の平均的な運動の方向を表している。銀河の画像は紫外線天文衛星「GALEX」による(提供:ESA/Gaia (star motions); NASA/Galex (background image); R. van der Marel, M. Fardal, J. Sahlmann (STScI))

ガイアのデータと既存の観測データとを合わせることで、アンドロメダ座大銀河とさんかく座銀河が過去未来の数十億年間でどのように運動するかが計算された。これまで、さんかく座銀河は過去にアンドロメダ座大銀河と接近したかもしれないと考えられたこともあったが、今回の結果によるとこの説は否定されている。

また、今回の結果で示されているアンドロメダ座大銀河の動きがこれまでの推定と異なっているため、天の川銀河とアンドロメダ座大銀河の衝突のタイミングも以前の予想とは異なる可能性がある。従来は39億年後とされていたが、今回の結果によれば銀河同士の衝突は約45億年後に起こり、正面衝突ではなく斜めからぶつかるような動きとなるようだ。

天の川銀河、アンドロメダ座大銀河、さんかく座銀河の移動経路
天の川銀河(青)、アンドロメダ座大銀河(赤)、さんかく座銀河(緑)の移動経路。〇印が各銀河の現在位置、>印は25億年後、X印は45億年後の位置(スケールバーの単位は100万光年)(提供:Orbits: E. Patel, G. Besla (University of Arizona), R. van der Marel (STScI); Images: ESA (Milky Way); ESA/Gaia/DPAC (M31, M33))

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