岩石が舞い上がる「はやぶさ2」着陸動画を公開
【2019年3月6日 JAXA】
小惑星探査機「はやぶさ2」は2月22日7時29分(探査機上での時刻、日本時間)、小惑星リュウグウの表面へのタッチダウンに成功した。その際に、リュウグウの試料を採取するサンプラーホーンの根元近くに搭載されている小型モニタカメラ(CAM-H)で1秒おきに撮影された画像から、動画が作成され3月5日に公開された。
サンプラーホーンの先端がリュウグウの表面に接地した瞬間、試料採取用の弾丸が発射されて表面の岩石を砕き、小さな破片がたくさん舞い上がる様子がわかる。また、探査機がスラスターを噴射して上昇したため、この噴射ガスによっても表面の岩石が壊されて舞い上がっているようだ。
「はやぶさ2」のサイエンスチームでは、リュウグウ表面物質の性質や起源などを知る貴重な手がかりになるとして、現在この映像を詳細に分析している。「はやぶさ2」プロジェクトサイエンティストの渡邊誠一郎さん(名古屋大学)は、「舞い上がっている破片は平べったい形のものが多いように見えます。この理由についても、リュウグウの表面に何らかの層状の構造が存在しているなど、様々な可能性が考えられます」と語っている。
運用チームでは、この着陸地点のニックネームをプロジェクトチーム内で募集し、「たまてばこ(Tamatebako)」と命名した。
3月5日の記者説明会では、「はやぶさ2」の今後の探査スケジュールについても発表された。「はやぶさ2」は最大で3回タッチダウンを行って試料を採取することができるが、第1回目の着陸(TD1)が予定よりも遅れたことや、TD1ですでに十分な量の試料が取れた可能性が高いことなどを踏まえて、着陸は多くともあと1回とし、次回は4月1日の週に衝突装置(SCI)をリュウグウに投下して人工クレーターを作る実験を行うことになった。
衝突装置を投下する地点は、リュウグウの赤道を取り巻く「リュウジン尾根」の上にある「S01」と呼ばれるエリアの近辺になるという。この実験で人工クレーターを作った後、クレーターの内部や周辺に岩塊の少ない場所があれば、その地点を目指して5月に第2回の着陸を行う予定だ。ただし、着陸に適した場所がクレーターの周囲になければ、まったく別の場所に降りる可能性もあるという。
(文:中野太郎)
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