ミラ型変光星さんかく座Rが見ごろ
【2022年9月15日 高橋進さん】
さんかく座は、秋を代表する星座の一つアンドロメダ座のそばにあり、明るい星がなく小さいものの、形が整っていて意外と見つけやすい星座です。そのさんかく座に位置する変光星さんかく座Rは、極大時は5.5~6.0等、極小時は11.0~12.0になる、比較的明るいミラ型変光星です。周期はおよそ267日で、ミラ型変光星としてはどちらかというと短い周期の星です。
今年のさんかく座Rは5月に11等くらいの極小を迎えたとみられ、その後は急速に光度を上げてきています。春から夏は季節的に観測が少ない時期でしたが、最近では新潟の佐藤嘉恭さんが9月10日に7.2等で観測されていて、もう間もなく極大と思われます。
ミラ型変光星の光度曲線は星によってそれぞれ特徴がありますが、さんかく座Rは増光していく途中で一時的に増光が止まり光度曲線に「こぶ」ができることがよくあります。上の光度曲線では2021年2月ごろや11月ごろにこの現象が見られます。こうした現象は恒星内部で周期や振幅が異なった脈動が重ね合わされることによって起こると考えられていますが、詳しくはまだよくわかっていません。観測を続けていくことで、恒星内部の様子が明らかになっていくと期待されます。
さて、今回の極大は9月15日ごろと筆者は予想していましたが、最近の観測を見ると9月下旬くらいにずれ込むかもしれません。ミラ型変光星の予報は国内では5つほどの出版社や団体・個人から出されていますが、さんかく座Rについては9月12日から22日と、どこも似たような日付で予想されています。現在の状況から判断すると、これらの予想のうち少し遅めの日付で極大を迎えるのではないかと思われます。
さんかく座Rはさんかく座の領域の東にあります。二等辺三角形の東端の星、4等級のγ星からたどっていくと見つけやすいでしょう。周囲にいくつか5~6等台の星があるので、R星の明るさを見積もってみてください。この星は急速に明るくなり、極大に達すると比較的すぐに減光していくという光度変化を見せてくれます。くじら座のミラなどは極大のころに少し光度を維持した後にゆっくり減光していくイメージがありますが、それに比べるとさんかく座Rはメリハリが効いた変化で、気持ち良く観測できる星とも言えます。
さんかく座は23時ごろには東の空の高いところに上っていて、星座としても見やすくなっています。見ごろの季節の星座のなかで極大を迎える見ごろの変光星、さんかく座Rを、ぜひお楽しみください。
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