活動銀河核とかげ座BLが急増光
【2022年11月11日 高橋進さん】
とかげ座は、はくちょう座の東に位置する小さな星座です。その一角にある天体のとかげ座BL(BL Lac)は、はじめは変光する恒星と考えられていて、変光星の命名法によってこのような符号が付けられました。ところがその後の観測で明るい電波源であることがわかり、赤方偏移の観測から10億光年彼方の銀河の中心部(活動銀河核)であることが判明しました。
とかげ座BLは銀河中心に太陽質量の1億7000万倍の超大質量ブラックホールがあり、そこから光速の99.8%という高速のジェットが噴出しています。このジェットの方向が地球に向いているため光の振動数がドップラー効果によって高くなることと、相対論効果で空間が短縮するためますます振動数が高くなることによって高エネルギーになり、明るく輝いて見えると思われています。こうした天体は「ブレーザー」と呼ばれています。
とかげ座BLは2020年くらいまではおよそ13等から15等を推移していたのですが、2020年に12等になり話題になりました。その後2022年になり15等くらいにまで暗くなっていたのですが、この9月くらいから急速に明るくなりはじめ、その様子が多くの変光星観測者から報告されています。
11月現在では12等に達しています。決して簡単に見えるというわけではないものの、この天体としては非常に明るい状態です。この機会にぜひ、10億光年の距離にある活動銀河核をご覧ください。
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