「カシオペヤ座のW」の中心星の、50年来の謎を解明

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X線観測衛星「XRISM」の観測に基づく、カシオペヤ座の中央に輝く2等星の正体や、そこから放射される強力なX線の起源に迫る研究結果が発表された。

【2026年3月31日 XRISM

北天に広がるカシオペヤ座は、5つの星が「W」字形に並ぶ様子が特徴的でわかりやすい星座だ。その中央に位置するγ星は、2等星と明るいものの長らく固有名がなかったが、昨年11月に「ティエンスー(Tiansi)」という名前が付けられた。

カシオペヤ座γはスペクトル中にHα線の輝線が見られる、「B型輝線星(Be星)」に分類される天体の一つである。1970年代半ばに、高エネルギーのX線で輝いていることが発見され、このX線の起源が主に1億5000万度という極度に高温のプラズマであることや、輝度は通常のBe星で予想される値の約40倍にも及ぶことも判明した。しかしその原因ははっきりとは解明されておらず、星の局所的な磁場が周囲の円盤の磁場と相互作用して高温物質を生み出している可能性などが考えられてきた。

カシオペヤ座
カシオペヤ座。(左)可視光線、(右)ガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」によるX線(提供:Digitized Sky Survey、NASA)

さらに2000年になって、カシオペヤ座γが連星であることも判明した。そこで、主星であるBe星の円盤物質が伴星に落下することで強力なX線が放射されている可能性も考えられるが、そもそも伴星の正体が何であるかはこれまで不明だった。

ベルギー・リエージュ大学のYaël Nazéさんたちの研究チームは、X線天文衛星「XRISM」の分光装置「Resolve」を用いてカシオペヤ座γのX線スペクトルをとらえ、同時期に可視光線のスペクトルも取得した。これらのデータを解析したところ、可視光線は主星、X線は伴星から出ていることを強く示唆する結果が得られた。全体的なX線スペクトルの特徴や可視光・紫外線でまったく検出されないことなどから、伴星は白色矮星と考えられる。この伴星がBe型星である主星から物質を吸い込み、その過程でX線が放出されていると考えられ、この星の正体や性質を知る大きな手がかりとなる。

一方で、同時期に形成されたと考えられる連星を成す2つの星で、質量の小さい方が先に進化しているように見えるという、通常の恒星進化とは異なる状態が起こっているという疑問もある。連星の場合はお互いの質量を交換できるので、最初に重い方の星の質量が剥ぎ取られ、先に進化して白色矮星になったのかもしれない。今回の発見は、そのような連星特有の進化を理解する上でも重要な意義を持つ。

カシオペヤ座γのX線生成のイラスト
カシオペヤ座γにおけるX線生成の様子。白色矮星(右下)の周囲にBe星の主星(中央)から取り込まれた物質から成る円盤が形成されている。この円盤から物質が磁力線によって白色矮星へと導かれ、白色矮星の極付近でX線が発生している(提供:ESA)

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