アルテミスIIミッションで撮影の日食画像から太陽コロナの構造を解析

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半世紀ぶりの有人月ミッション「アルテミスII」で宇宙飛行士が撮影した日食画像の解析から、太陽の周りに広がる「Fコロナ」の構造が明らかになった。科学観測ではない画像を用いたユニークな研究成果だ。

【2026年6月16日 東京都市大学

太陽の周囲に淡く広がって見える「コロナ」は、物理的な発生過程の違いによってKコロナ、Eコロナ、Fコロナの3種類に大別される。このうちFコロナは太陽系内を漂う微細な塵(惑星間塵)が太陽光を散乱しているものであり、太陽近傍のダスト分布を知る手がかりとなる。しかし、Fコロナは太陽本体に比べて極めて暗く淡い構造であるため、太陽が月に完全に隠される皆既日食を利用したり、専用の装置を使ったりしなければ観測できない。

今年4月に実施されたNASAの有人月ミッション「アルテミスII」では、4名の宇宙飛行士がオリオン宇宙船に搭乗して月への往還を行った。その途上、4月7日に月の裏側を接近通過した際に、飛行士たちは宇宙船から皆既日食を撮影した。

皆既日食
アルテミスIIミッションで撮影された皆既日食(提供:NASA(オリジナル画像))

東京都市大学の津村耕司さんと国立天文台の有松亘さんは、この画像に通常の地上観測では得られない範囲にまでFコロナの構造が写っていることに注目し、画像を解析してFコロナの広がりと構造を調べた。

この画像は科学観測用ではなくニコン Z9で撮影された広報用のJPEG画像だが、JPEG画像はカメラ内部で圧縮や画像処理が施されているため、一般的には精密な科学解析には適さないとされる。津村さんたちは画像内に写り込んだ恒星を利用して撮影データを校正し、JPEG画像からでも信頼できる輝度分布を復元することに成功した。

解析の結果、Fコロナが黄道面に沿って扁平な構造を持ち、東西方向の分布は従来の観測と概ね一致することが確認された。また、南北方向には惑星間塵の分布モデルからの予想よりも広がりを持つ構造であることも確認された。これらは太陽近傍における惑星間塵の分布をより詳細に制約するもので、太陽系内物質の起源や進化を理解する上で重要な手がかりとなる。

Fコロナの広がり
(左)アルテミスIIで撮影されたFコロナの広がり、(右)モデル計算されたFコロナの広がり(提供:東京都市大学リリース)

今回の研究成果は、科学観測ではない広報用画像からでも定量的な物理情報を抽出して、科学的成果が導けることを実証した。人類の宇宙探査活動そのものが新たな天文観測の機会となり得ることや、今後の天文学の発展に重要な役割を果たす可能性を強く示すものであり、将来の有人宇宙探査や観測ミッションにおいても同様のデータ活用の可能性が広がることが期待される。

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