2018年の主要なミラ型変光星の光度変化予測

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数か月以上の長い周期で明るさが大きく変わるミラ型変光星のうち主なものについて、2018年の光度変化の予測グラフを紹介しよう。くじら座のミラは1月と12月ごろ、はくちょう座χは12月ごろに極大予想となっている。

【2018年1月9日 高橋進さん】

「ミラ型変光星」は、恒星の脈動によりおよそ100~500日の周期で5~10等級ほどの変光を見せる天体です。明るいものは小さな双眼鏡があればじゅうぶんに観測できますし、場合によっては肉眼でも観測可能です。そのため何か観測したいという方にはお勧めなのですが、実際には双眼鏡を向けてみたが見えなかった、という話もよく聞きます。たとえば、ミラ型変光星の代表星であるくじら座のミラの場合、極大の(一番明るい)頃は3~4等級になり肉眼でも観測可能なのですが、極小期(一番暗い頃)は9等にまで暗くなってしまい双眼鏡でも観測が難しくなります。

そこで、ミラ型変光星のうち主要な9星について、いつどれくらいの明るさになるかを予想したグラフを作成しました。これを利用して、その時期に見やすい天体をぜひ観測していただければと思います。ただし実際には1~2等級のずれが出る可能性がありますので、あくまで目安として参考にしてください。

ミラ型変光星の2018年の変光予想
ミラ型変光星の2018年の変光予想。ミラやしし座R、はくちょう座χが見やすい。クリックで画像拡大(提供:高橋進さん)

2018年の見どころですが、くじら座のミラ(ο Cet)が1月と12月に極大を迎えます。どちらも観測しやすい時期の極大ですが、新約聖書に記載があるベツレヘムの星はミラではないかという説もありますし、ぜひ12月のミラは見ていただきたいと思います。また、しし座R(R Leo)が3月下旬に極大を迎えます。周期146日でミラ型としては短い周期のおとめ座R(R Vir)の5月中旬の極大もお勧めです。わし座R(R Aql)の8月中旬の極大も見やすい位置です。はくちょう座χ(χ Cyg)は12月中旬に極大になりますが、はくちょう座もクリスマスの頃に十字架のように見える星座ですので、それに合わせて楽しんでいただきたいと思います。

観測に必要な変光星図は日本変光星研究会ウェブサイト(「変光星図」ページ)や、アメリカ変光星観測者協会(AAVSO)ウェブサイトにありますのでぜひご利用ください。また観測結果については、上記日本変光星研究会サイトの「観測報告について」を参考に、日本変光星観測者連盟(VSOLJ)の観測受付の広沢憲治さんまでご報告をお願いします。

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