火星着陸から7年、「スピリット」との通信復活を断念
【2011年5月26日 NASA】
NASAは、火星探査車「スピリット」の通信復旧作業を終了したことを発表した。日照不足により2010年3月から通信が途絶えていたが、火星の夏至にあたる今年3月に入っても復活しないため、見込みなしと判断したものだ。
2003年6月10日に打ち上げられ、2004年1月3日に火星に着陸したNASAの探査車「スピリット」は、ほぼ同時期に打ち上げ・着陸した双子の「オポチュニティ」とともに火星の表面を移動しながら探査を行った。昔の火星に水が豊富に存在した証拠の発見や地質調査などにより、火星についての新たな知見をもたらした。
2009年5月には車輪が砂地にはまり動けなくなったものの、その場で定点観測を続行した。
だが2010年3月、通信が途絶してしまった。火星の南半球の夏至にあたる今年3月ごろの復旧にわずかな期待がかけられていたが、姿勢が変更できないために太陽光発電ができず、そのため冬の間に温度が低下して内部機器がダメージを受けたのか応答はなく、通信復旧の試みはついに5月25日を最後に終了となった。
今年11月には新探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」が打ち上げられる予定となっており、地上の追跡アンテナや、火星周回機「マーズ・リコナサンス・オービター」「マーズ・オデッセイ」などの通信リソースが引き継がれる。ただし、NASAのDave Lavery氏によれば「現実的には見込みがなくても、時間に空きがあればスピリットのかすかな信号を探してみることがあるかもしれません」ということだ。
もう一方の「オポチュニティ」は今なお順調に探査を続けており、現在「エンデバー」クレーターに向けて移動している。