宇宙は惑星だらけ? 続々見つかる地球サイズの星
【2012年1月13日 NASA (1)/(2)/HubbleSite】
昨年12月発表の「ケプラー20e」に続き、地球よりも小さな系外惑星がさらに3つ発見された。こうした地球型惑星がありふれた存在だということが「第3の手法」により統計的に明らかになってきたほか、昨年9月の初発見に続く「2つの太陽をもつ惑星」の存在など、系外惑星研究は急展開を見せている。
2011年12月、直径が地球の0.83倍(当時の最小記録)という系外惑星ケプラー20eの発見が発表されたが、さらに小さい惑星が見つかった。中心の恒星「KOI-961」は直径が太陽の6分の1しかない赤色矮星で、その周りを周期2日以下で回る3つの惑星はそれぞれ地球の0.78倍、0.73倍、0.57倍の岩石惑星という。公転軌道が中心星からあまりにも近く、表面温度がおよそ摂氏170〜450度にもなるため、惑星の表面に液体の水は存在しないとのことだ。
系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータからこれらの惑星を探しだしたJohn Johnson氏(米カリフォルニア工科大学)は、「大きさのスケールから言えば、太陽系というよりも木星とその衛星に近いです。『同じ天の川銀河の中に、こんな惑星系もあるんだ』と思わせてくれるものの1つですね」とコメントしている。
赤色矮星は私たちの天の川銀河の中でもっともありふれた種類の恒星だ。その周囲に3つも惑星が発見されたということは、地球のような岩石惑星が宇宙には多数存在することを示唆しているといえる。
続々と発見される「小さな系外惑星たち」だが、こちらも「続々発見」となるだろうか。2011年9月に発表された「ケプラー16b」に続いて史上2つ目および3つ目となる「2つの太陽を持つ惑星」が、やはりケプラーの観測により見つかった。
これらは、重力で結びついた恒星のペアの周囲を回る「周連星惑星」で、28日周期の連星「ケプラー34」と21日周期の連星「ケプラー35」の周囲にそれぞれ1つずつ、土星サイズのガス惑星が見つかった。「ケプラー34b」は公転周期289日、「ケプラー35b」は131日で、両方とも中心星から近く生命には適していないと思われる。空に2つの太陽が昇ってきても、それを目にする生物はいないだろう。
「ケプラー34b」ははくちょう座の方向4900光年先、「ケプラー35b」は同じくはくちょう座の5400光年先にあり、これまでで見つかった系外惑星の中では最も遠方の部類に入る。
こうした系外惑星はどのくらいの数存在するのだろうか。米宇宙望遠鏡研究所のKailash Sahu氏の統計的な見積もりによれば、この天の川銀河には1000億個の惑星が含まれているという。これは平均して恒星1個について少なくとも惑星1個という割合になり、また太陽系から50光年以内に1500個の惑星が存在するということになる。
さらにこの研究からは、従来多く見つかっていた木星型の巨大ガス惑星よりも地球程度の小型の惑星の方がはるかに多数派であるということもわかった。
Sahu氏らは、手前にある天体の重力でその向こう側の恒星の光が明るくなることを利用した「重力マイクロレンズ法」による系外惑星探しを行った。重力マイクロレンズ法は、他の主な手法に比べて捜索条件を選ばないという長所がある。中心星の手前を惑星が横切る時の減光を感知する「トランジット法」や、惑星の引力により中心星がわずかにふらつくのを感知する「ドップラー法」では、中心星に近く公転周期の短い惑星をより発見しやすい。だが、重力マイクロレンズ法ではそうした偏りなく惑星を検出することが可能だ。
研究チームは、OGLE(光学重力レンズ実験)やMOA(宇宙物理マイクロレンズ観測)などのサーベイ観測から重力レンズ効果とみられる現象を探し、それをさらにPLANET(レンズ効果現象調査ネットワーク)で確認して得られた統計から分析を行った。その結果、全ての恒星のうち木星サイズの惑星を持つものは6個に1個、海王星サイズの惑星は半分で、地球サイズの惑星は3分の2の恒星に存在するという結果が出た。
「重力マイクロレンズ法を含む3つの手法による観測研究から、『この銀河の中で、地球のような小型惑星はありふれている』という同一の結論が導かれつつあります。地球型の生命に適した惑星を探すうえで前向きな材料です」(カリフォルニア工科大学のStephen Kane氏)。
Sahu氏らの研究とは個別に大阪大学の住貴宏(すみたかひろ)氏らが行っている重力マイクロレンズ観測研究では、土星軌道よりも遠く、あるいは中心星を持たず独立した惑星が、天の川銀河内に数千億個存在するという見積もり結果が発表されている。
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