天の川銀河中心「いて座A*」で起こった巨大X線フレア

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2013年9月、天の川銀河中心の電波源「いて座A*」で通常の400倍もの明るさのX線フレアが観測された。その要因ははっきりとわかっておらず、巨大ブラックホールのふるまいとその周辺環境に関して疑問を投げかけている。

【2015年1月7日 Chandra Photo Album

NASAのX線天文衛星「チャンドラ」が2013年9月、巨大質量ブラックホールがひそむ天の川銀河の中心部「いて座A* 」で発生した大規模なX線フレアを観測した。その明るさはこの天体で通常見られるフレアの400倍であった。

いて座A*周辺のX線画像、四角内が巨大X線フレア
いて座A*周辺のX線画像(青:X線が明るい箇所)。四角内がX線フレアのようす(提供: NASA/CXC/Stanford/I. Zhuravleva et al.)

この後、2014年10月にも通常の200倍の明るさのX線フレアが観測されているが、こうした大規模フレアの要因については2つの説が考えられている。1つ目は、いて座A*周辺の強力な重力で引き裂かれた小天体の残骸が、ブラックホールに飲み込まれる直前にX線を放射したというもの。2つ目は、ブラックホール周辺の強力な磁場が関係しているというものだ。磁力線に変化が生じて、磁気リコネクション(磁力線のつなぎかえ)が起こる際に、大きなX線バーストが発生することがあり、太陽でも同様の現象が定期的に観測されている。

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