ガイアが明かすオウムアムアの故郷
【2018年10月2日 ヨーロッパ宇宙機関】
2017年に発見された「オウムアムア」は、太陽系外からやってきて系外へ出ていく軌道を持つことが知られる、史上初の「恒星間天体」だ。発見当初は小惑星とされていたが、その後の観測や解析の結果、彗星である可能性が高いとされるなど、次第にその正体が解明されつつある。しかし、どこの恒星から来たのかはまだ明らかになっていない。
一般に、彗星は惑星系が形成される過程で惑星にならずに残ったものとされており、オウムアムアの場合には「故郷」の惑星系が形成途上の段階の時期にそこから放出された可能性がある。オウムアムアの故郷を探し出すためには、オウムアムアの軌道を過去に遡るだけでなく、過去数百万年の間にオウムアムアと近づいた可能性のある星についても検討しなくてはならない。
独・マックスプランク研究所のCoryn Bailer-Jonesさんたちの研究チームは、2018年4月に公開された天文位置衛星「ガイア」の第2期データを使って、オウムアムアの故郷候補となる恒星を調べた。
ガイアのデータには、天の川銀河にある恒星のうち10億個以上について、位置や距離、動きの情報が含まれている。研究チームはその中から700万個の星の動きについて調べ、かつてオウムアムアの軌道に近づいた4つの恒星を特定した。
4つの恒星は太陽と同じくらいかそれよりも小さく、100万年前から700万年前の間にオウムアムアと接近していた。恒星に惑星が存在したり恒星が連星系だったりする場合は、故郷から小天体が弾き出されて恒星間天体となる可能性が高くなるが、4つの恒星については今のところ、惑星や伴星の存在は知られていない。
これらの恒星が本当にオウムアムアの故郷なのかどうか、詳細については今後の観測から新たな手がかりを得られるかもしれない。また、2020年代に公開されるデータではさらに多くの恒星の軌道についても情報が得られるだろう。「オウムアムアの故郷を特定するにはまだ先が長いですが、今回の成果から、天の川銀河の歴史を調べるのにガイアが非常に役立つことがわかりました」(ESA・ガイアプロジェクト Timo Prustiさん)。
〈参照〉
- ESA:Gaia finds candidates for interstellar 'Oumuamua's home
- The Astronomical Journal:Plausible home stars of the interstellar object 'Oumuamua found in Gaia DR2 論文
〈関連リンク〉
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