初検出、超大質量ブラックホールのペアの動き

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約7億5000万光年の距離にある銀河に存在する、超大質量ブラックホールのペアの動きがとらえられた。互いの間隔は24光年しか離れていない。

【2017年7月3日 NRAO

VLBA(超長基線電波干渉計)による観測で、ペルセウス座の方向約7億5000万光年彼方の楕円銀河に存在する超大質量ブラックホールのペアの動きがとらえられた。ブラックホールのペアの質量は合計で太陽の150億倍もあり、お互いの距離はわずか24光年しか離れていない。

超大質量ブラックホールのペアの想像図
楕円銀河「0402+379」に存在する超大質量ブラックホールのペアの想像図(提供:Josh Valenzuela/University of New Mexico)

「これは、互いの周りを回る2つのブラックホールが分離してとらえられた初めてのケースで、目に見えるブラックホール連星の第1号です」(米・ニューメキシコ大学 Greg Taylorさん)。

ほとんどの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数十億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールが潜んでいると考えられている。今回のように、1つの銀河の中心に大質量ブラックホールが2つが存在しているということは、過去に銀河同士が合体したことを意味している。今後2つのブラックホールは接近していき、最終的には合体して重力波を放出するとともに、より大きい1つのブラックホールとなる。「この銀河に存在する2つの超大質量ブラックホールも、数百万年以内に合体すると考えられます」(米・ニューメキシコ大学 Karishma Bansalさん)。

TaylorさんたちはVLBAによる過去の観測データから、この銀河に超大質量ブラックホールのペアが存在することを2006年には突き止めていた。今回さらに2009年と2015年の観測データなどを用いて、2つの超大質量ブラックホールが互いの周りを回っていることが確かめられた。1周するのに約3万年かかると見積もられている。

楕円銀河0402+379の中心領域
VLBAによる楕円銀河0402+379の中心領域の観測画像。超大質量ブラックホールのペアと確認された2つの核(C1とC2)がとらえられている(提供:Bansal et al., NRAO/AUI/NSF.)

「軌道やブラックホールの質量をもっとよく理解するために、この銀河の観測を続ける必要があります。このペアは、連星系でどのような相互作用が起こっているのかを研究する初めての機会を与えてくれます」(Taylorさん)。

2つの超大質量ブラックホールを接近させるような銀河の合体は、宇宙ではよく起こることだと考えられている。つまり、この銀河に存在する超大質量ブラックホール連星系は、宇宙において一般的な存在と考えられる。「ブラックホール連星の動きを観測できたことは、同様の連星系の発見を目指す私たちの励みになります。今後、もっと研究に適したブラッホール連星を発見できるかもしれません」(Bansalさん)。

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