ふぞろいの磁場反転 今後の太陽活動に注目
【2013年2月1日 国立天文台・理化学研究所】
太陽は、11年周期で訪れる活動ピークとともに南北の極域磁場が入れ替わる。だが今年秋のピークを前にして、その反転の足並みが南北でそろわないままとなっている。今後の太陽活動にどのような影響が出るのか、気になるところだ。
太陽は平均11年の周期で活動の極大と極小を繰り返している。現在は徐々に活動が上昇してきているところで、今年秋ごろにピークを迎えると予想されている。
太陽活動がピークとなるころ、その表面の黒点の数が増加し、またほぼ同時に南北の磁極が反転する。黒点の源となると考えられている極域磁場がどのように変化するかを調べることは、太陽活動を予測する上でひじょうに重要だ。
前回発表までの概要
太陽活動が上昇中の2012年1月、衛星「ひので」の観測で、太陽の北極磁場がマイナスからプラスに転じる兆候を見せる一方、南極はプラスを維持しているままであることがわかった。このままでは近い将来に南北の両方がプラス極という四重極構造になると予想されていた(画像)。
今回の発表
2012年9月〜10月の観測では、北極では引き続き磁場の反転が進行していて、南極では依然としてプラスのままとなっている。また、極磁場の反転が低緯度側から起こることも今回の観測で明らかになり、北緯75度以北までプラス極になっていると推定される。
今年秋のピーク時に予想される平均相対黒点数(黒点数をベースとした太陽活動の指標)は過去100年で最低の数字となっており、当面、太陽活動は低調に推移するものと思われる。
17世紀ごろの「マウンダー極小期」のような極端な太陽活動の低下が発生する場合、その兆候が1サイクル(〜11年前)近く前に極域磁場に現れると考えられている。「ひので」は、今後も注意深く極域の観測を続けていく予定だ。