西山さんと椛島さんがケフェウス座に新星を発見
【2013年2月4日 CBET 3397/VSOLJニュース(294)】
九州の新天体捜索チーム、西山さん椛島さんのコンビが2月2日(世界時、以下同様)、ケフェウス座方向にある新星を10等級で発見した。
福岡県の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんは2月2.4119日、ケフェウス座方向、天の川銀河内に新星「NOVA CEPHEI 2013」を10.3等で発見した。
西山さん椛島さんの観測によると、この新星の位置は以下のとおり。
赤経 23時08分04.71秒 赤緯 +60度46分52.1 秒(2000.0年分点) ケフェウス座の新星の周辺星図
岡山理科大学の分光観測から、典型的なFe II型新星であること、また岡山県の藤井貢さんの観測では初期段階の新星であることが示されている。
超新星と新星の違い
超新星が恒星全体の爆発であるのに対して、新星は白色矮星の表面での小規模な爆発で、同じ天体で繰り返し起こることもある。明るさは超新星のほうが10000倍(10等級)ほど明るい。このため、新星のほとんどは天の川銀河内か、天の川銀河の外でもアンドロメダ座大銀河(M31)など近傍でしか発見されない。
VSOLJニュースより(294)
天の川のほとりにあるケフェウス座は秋に見やすい星座で、2月には夕方に北西の空に見ることができます。そのケフェウス座の中の、カシオペヤ座との境界付近に新星が発見されました。新星を発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫さんのチームで、昨年10月のわし座新星の発見(参照:2012/11/5天文ニュース 「西山さんと椛島さんがわし座に新星を発見」)に次ぐ天の川銀河内新星の発見です。
西山さんと椛島さんは2月2.4119日に、焦点距離105mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から10.3等の新天体を発見し、直後に口径40cmの望遠鏡を用いて確認観測を行いました。
この天体は西山さんと椛島さんが1月23日と26日に撮影した画像には写っていませんでしたが、1月28日には11.9等、30日には11.0等で写っていたことが報告されました。また、筆者が行っているサーベイでも1月30日にV等級で12等、31日にV等級で11.3等ほどで写っていたことがわかりました。
発見後の確認観測は、茨城県の清田さんや山口県の吉本さんをはじめ国内外で行われ、発見された天体が赤い色をしていることや、発見時からの明るさの変化があまりないことなどがわかりました。
この天体の分光観測は岡山理科大学の今村さんと岡山県の藤井さんが、2月2日にそれぞれ行いました。この天体のスペクトルには、水素のバルマー系列や1階電離した鉄などの輝線がみられたことから、この天体が古典新星であることが判明しました。また、Hαなどの輝線ははくちょう座P型プロファイルを示すこともわかり、輝線のピークと吸収線の底の波長の差から、新星爆発による物質の膨張速度は秒速1000km程度であると報告されました。
ケフェウス座に新星が発見されたのは、2001年に撮影された画像からMISAOプロジェクトによって発見されたMisV1181=V709 Cep以来12年ぶり、分光観測で間違いなく新星と確認された天体の発見としては、1971年に桑野さんによって発見されたIV Cep以来42年ぶりです。
この新星は、膨張速度が比較的遅いことから、ゆっくりと暗くなるタイプの新星であると考えられます。しかし、このタイプの新星の中には、複数回の増減光を繰り返したり、ダスト形成による急速な減光を示すものも知られており、この新星の今後の光度変化などが注目されます。
ケフェウス座の新星の位置
この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ステラナビゲータを起動後まず「ツール」メニューから「データ更新」を行い、新天体データを取得してください。
また、新しいデータや番組をオンラインで入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。