大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」が完成
【2019年10月7日 国立天文台】
大型低温重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」は、2010年から岐阜県飛騨市神岡町で建設が進められてきた。2019年内に重力波の観測運転を開始する予定で、現在は精密なレーザー干渉計として動作させるための調整や検出感度を高めるための試験と調整が進められている。
10月4日(金)にKAGRA坑内で完成記念式典が行われ、同日には富山市内で、KAGRA、アメリカ国内の2か所に設置されているレーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」、イタリアに設置されている欧州重力波観測所の重力波検出器「Virgo」との間で研究協定調印式も行われた。
重力波天体の位置を特定するためには、複数の機器で同時に観測を行い、それぞれに重力波が到達した時間差を利用するという方法をとる。そのため、多数の重力波望遠鏡や重力波検出器が観測に参加することが極めて重要である。世界で4台目、アジア地域では初となる重力波望遠鏡のKAGRAが運転を開始し、LIGO、Virgoとの同時観測が始まれば、重力波を発生させた天体のより正確な位置の特定が可能になり、重力波天文学がさらに大きく発展することが期待される。
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