「はやぶさ2」、第1期イオンエンジン運転完了
【2020年2月26日 JAXA】
小惑星探査機「はやぶさ2」は昨年11月13日に小惑星「リュウグウ」を出発し、地球帰還に向けた第1期のイオンエンジン運転を実施してきた。
まず11月20日から28日までは、イオンエンジンの試運転が行われた。イオンエンジンの運転が約1年半ぶりであること、リュウグウへの2度のタッチダウン時に砂を浴びた可能性があることから、4台のイオンエンジンのうち(後述するBを除く)3台がどのような組み合わせでも稼働しイオンビーム加速ができることがチェックされ、問題ないことが確認された。
その後、12月3日から今年2月3日までは本運用が実施され、「はやぶさ2」は3台ないし2台のイオンエンジンを用いて航行を続けてきた。
次いで2月3日と4日には、再び試運転として、バックアップ用のイオンエンジンであるBの動作がチェックされた。このエンジンBは「はやぶさ2」打ち上げ直後の2014年に初期動作が確認されて以降使用されていなかったことから、プラズマが点火するか、イオンエンジンとして機能するかなどが懸念材料だったが、これも問題ないことが確認された。
さらに、イオンエンジンジンバル自動制御についても問題はなく、4台のイオンエンジンがすべて使える状態で今後の地球帰還運用が行える見通しであることが確かめられた。
2月5日以降はイオンエンジンをいったん停止して精密軌道推定を実施し、その結果に基づいて2月20日にイオンエンジン噴射の微修正が実施された。これをもって、第1期のイオンエンジン運転の完了となる。
今後は5月から9月に第2期イオンエンジン運用を実施する予定となっている。10月からはいよいよ、精密さを必要とされる軌道誘導が行われ、今年末ごろにリュウグウの試料を収めたカプセルが地球に戻ってくる予定だ。
「はやぶさ2」ミッションは地球帰還後も延長されることが検討されている。燃料の残量や確実性、科学的意義の重要性等を考慮しながら次の候補天体を探っていくことになる。
また、「はやぶさ2」のプロジェクトの成果を知ってもらうための活動として、全国の科学館と協力し、プロジェクトメンバーを派遣する講演会「『はやぶさ2』トークライブシーズン2」を実施中だ。すでに5~6か所で開催され、今年9月までに計27か所で行われる予定(2月20日現在)となっている。
〈参照〉
- JAXA:記者対応資料(2020年2月20日版)
- YouTube:小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(2020年2月20日)中継録画
〈関連リンク〉
- 「はやぶさ2」:
- 星ナビ.com 「はやぶさ2」ミッションレポート
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