134億光年彼方の銀河を同定、観測史上最遠記録を更新

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ケック望遠鏡の分光観測により、おおぐま座の銀河GN-z11の赤方偏移が正確に求められ、この銀河が134億光年の距離にあることが確認された。これまでに観測されたなかで最遠の銀河となる。

【2020年12月18日 北京大学カブリ天文天体物理研究所すばる望遠鏡

宇宙で最初の銀河は、いつどのように生まれたのだろうか。その謎に対する答えを求めて、研究者たちは最も遠い銀河を探し続けている。2016年にハッブル宇宙望遠鏡の観測データから発見された、おおぐま座の方向に位置する「GN-z11」も、そのような最遠銀河の候補の一つだ。

GN-z11には遠方銀河(「ライマンブレイク銀河」)に特徴的なスペクトルが見られ、おそらく約134億光年彼方の銀河だろうと推測されていたが、これまで正確な距離は測定されていなかった。

北京大学カブリ天文天体物理研究所のLinhua Jiangさん、東京大学大学院理学系研究科の柏川伸成さんたちの研究グループは、米・ハワイのケック望遠鏡に搭載されている近赤外線分光器「MOSFIRE」を用いてGN-z11を観測し、炭素イオンと酸素イオンが放つ光の検出に成功した。この観測によりGN-z11の赤方偏移が10.957であるとわかり、GN-z11の距離が134億光年であることが確認された。人類がこれまでに観測した銀河の中で最も遠いものとなる。

GN-z11と炭素の近赤外線スペクトル
(上)ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河「GN-z11」(青い矢印の先)、(下)同銀河の炭素の近赤外線スペクトル。銀河から放射された炭素の輝線(緑)の波長は約1910Å(オングストローム)で紫外線域にあるが、赤方偏移で波長が伸び、波長2.28μmの赤外線として観測された。ほかに波長2μmの酸素も観測された(提供:柏川伸成 2020)

今回、GN-z11から検出された炭素の強度と、炭素と酸素の強度比の関係は、一般的なモデルでは説明できないもので、現在の銀河には見られない特殊な物理状況を示唆している。銀河の年齢や質量の推定から、GN-z11は若い銀河で生まれてから急速に成長したものだとJiangさんたちは考えている。

また、研究グループは分光観測中に、GN-z11からのバーストもとらえている。スペクトルや明るさ、持続時間などから、この現象はGN-z11で発生したガンマ線バーストによるものという可能性が考えられている。

最遠銀河から飛来するガンマ線バーストのイラスト
最遠銀河から飛来するガンマ線バーストのイラスト(提供:Jingchuan Yu)

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