リング状に拡がりながらまたたくオーロラをとらえた

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全天カメラと日本の観測衛星「あらせ」によってリング状に拡がる脈動オーロラがとらえられ、磁気圏でのプラズマの変動がオーロラの変化に表れていることがわかった。

【2026年6月23日 電気通信大学

極域で見られるオーロラは磁極を取り囲む楕円状に現れるが、ときとしてオーロラの一部が突然明るく輝きだして夜空全体に爆発的に広がり、数時間から数日かけて元に戻ることがある。この一連の現象は「オーロラサブストーム」と呼ばれ、とくにオーロラが爆発的に広がる段階のことを「オーロラ爆発」とも呼ぶ。オーロラ爆発がピークを過ぎて元の状態に戻る回復段階では、空に広がるオーロラが数秒から数十秒周期で明滅する「脈動オーロラ」という現象が特徴的に現れる。

脈動オーロラは、地球磁気圏の赤道面付近で「コーラス波」というプラズマの波動が起こり、これが高エネルギーの電子を散乱させて地球大気へと降らせることで発生することがわかっている。この脈動オーロラの時間変化については過去に多くの研究があるが、脈動オーロラの空間的な形がどう変化し、何がその形を決めているのかはよくわかっていない。

電気通信大学の細川敬祐さんを中心とする研究グループは、フィンランドのソダンキュラで運用されている高感度・高時間分解能の電子倍増型CCD(EMCCD)全天カメラの観測画像と、日本のジオスペース探査衛星「あらせ」の観測データを組み合わせて、2017年3月29日に発生した脈動オーロラの様子を詳細に解析することに成功した。

EMCCD全天カメラ
フィンランドで運用中のEMCCD全天カメラ(中央部分)。毎秒100枚のオーロラ画像を取得できる(提供:電気通信大学リリース、以下同)

全天カメラで撮影された画像には、パッチ状のオーロラが放射状に全方位へ拡大し、その直後に中心に暗い穴(ダークホール)が現れて細いリング状の構造が形成される様子が克明にとらえられていた。オーロラのリングが広がり終わるまでにはわずか10秒ほどしかかからず、電離圏の高度でオーロラが拡大した速度は秒速数十km以上に達していた。これほど短い時間でオーロラの形状が変わる様子をとらえたのは初めてだ。

オーロラの連続画像
0.5秒ごとに取得されたオーロラの連続画像。パッチ状のオーロラが出現し、円弧状に拡大しながら最終的にリング状の構造になる様子。画像クリックで表示拡大

一方、同じ時刻に地球磁気圏を飛行していた「あらせ」でも、コーラス波の強度が連続的に上昇する様子が記録されていた。当時の「あらせ」はパッチ状オーロラの中心から少し離れた場所を通る磁力線の延長上に位置していて、オーロラのリングが拡大したタイミングから数秒遅れでコーラス波の強まりを検出していたことが確認された。この結果から、パッチ状脈動オーロラが拡大していく現象は、宇宙空間でコーラス波の波源領域が急速に拡大する現象を反映していたことがわかった。

細川さんたちは、コーラス波の波源が急速に拡がる要因として、プラズマの中を伝わる「速進磁気音波(ファストモード波)」という磁気流体力学的な波が関わっている可能性があると考えている。

円弧状に拡大するオーロラの発現メカニズム
円弧状に拡大するオーロラの発現メカニズムの概略図。宇宙空間(磁気圏)でコーラス波の波源が円弧状に拡大し、そこから発生した波動が電子を散乱することで、オーロラがリング状の形になる。画像クリックで表示拡大

今回の研究によって、磁気圏で発生したプラズマの乱れが波動を通じて急速に伝わり、超高層大気に現れるオーロラの形を直接制御していることが明らかになった。

今後、今回のような地上カメラの広域観測網を利用することで、地球周辺の放射線帯などで起こる高エネルギー電子のダイナミクスを遠くから可視化できる新手法が生み出されるかもしれない。また、近年ではNASAの探査機「ジュノー」によって木星の極域オーロラでもリング状に拡大する構造が見つかっており、今回の手法は他の惑星で起こるオーロラの構造形成メカニズムを理解することにも役立つと期待される。

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