ロシア隕石、母天体は不明のまま
【2015年2月16日 惑星科学研究所】
2013年2月15日、ロシア・ウラル地方上空に出現しいくつかのドライブレコーダーにとらえられたチェリャビンスク隕石は、その落下中に生じた衝撃波による影響などで1000人以上が負傷するという、かつてない天体衝突災害をもたらした。
落下時の映像から割り出された軌道や回収された隕石の組成から、当初は直径2kmの地球近傍小惑星1999 NC43が隕石の有力な母天体と考えられてきたが、米・惑星研究所のVishnu Reddyさんらが詳しく分析したところ、それぞれに相違点が見られた。「回収された隕石はLLコンドライトと呼ばれるタイプのものだが、小惑星の組成は全く違っていた」(Reddyさん)という。
宇宙空間を無数に飛び交う小さな破片の中で、どれが“犯人”かを確実に知るのは至難の業のようだ。
〈参照〉
- Planetary Science Institute: Two Years On, Source of Russian Chelyabinsk Meteor Remains Elusive
- Icarus: Link between the potentially hazardous Asteroid (86039) 1999 NC43 and the Chelyabinsk meteoroid tenuous 論文
〈関連リンク〉
- アストロアーツ 星空ガイド:
- 天文の基礎知識 小惑星
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
- 「隕石コレクター」
- 「再現!巨大隕石衝突」
- 「地球接近天体 いかに早く見つけ、いかに衝突を回避するか」
〈関連ニュース〉
- 2013/10/17 - ロシア隕石、数百kgの巨大破片を回収
- 2013/02/26 - ロシアの火球の推定軌道
- 2013/02/18 - ロシアの小天体落下、チェリャビンスクで隕石を回収
- 2013/02/15 - ロシア・ウラル地方で小天体落下か 400人以上負傷
関連記事
- 2024/11/27 リュウグウの砂つぶに水の変遷史を示す塩の結晶を発見
- 2024/11/14 「COIAS」発見小惑星に「アオ」命名、15日に「命名祝賀会」配信
- 2024/10/08 二重小惑星探査機「ヘラ」、打ち上げ成功
- 2024/09/12 「にがり」成分からわかった、リュウグウ母天体の鉱物と水の歴史
- 2024/08/09 「はやぶさ2」が次に訪れる小惑星は細長いかも
- 2024/03/19 『恋する小惑星』を追体験!Webアプリ「COIAS」
- 2024/01/29 リュウグウに彗星の塵が衝突した痕跡を発見
- 2024/01/11 「プラネタリウムの父」バウアスフェルドの名を冠した小惑星観測キャンペーン
- 2023/12/25 タンパク質構成アミノ酸が一部の天体グループだけに豊富に存在する理由
- 2023/12/15 リュウグウの岩石試料が始原的な隕石より黒いわけ
- 2023/12/15 2023年12月22日 ベスタがオリオン座で衝
- 2023/12/13 「はやぶさ2♯」の目標天体2001 CC21命名キャンペーン
- 2023/12/12 小惑星レオーナによるベテルギウスの食、世界各地で観測
- 2023/11/15 リュウグウ試料に水循環で生じたクロム同位体不均質が存在
- 2023/11/07 探査機「ルーシー」が最初の目標小惑星に接近、衛星を発見
- 2023/10/16 金属小惑星を目指す探査機「サイキ」打ち上げ成功
- 2023/09/25 探査機「オシリス・レックス」地球帰還、小惑星ベンヌの試料入りカプセルを届ける
- 2023/08/23 2023年8月30日 フローラがみずがめ座で衝
- 2023/07/26 「はやぶさ2」が次に目指す小惑星、イトカワと類似
- 2023/07/19 リュウグウの炭酸塩に、母天体が独特な環境で進化した形跡