「はやぶさ」カプセルが日本に到着、非破壊検査で異常なし
【2010年6月18日 JAXA】
小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルと熱シールドが、18日午前2時15分(日本時間、以下同)に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の相模原キャンパス内に到着した。その後行われた非破壊検査で、異常がないことが確認された。
「はやぶさ」のカプセル、およびカプセルに続いて回収された熱シールドは、ともに6月17日14時22分にチャーター機で豪・ウーメラ空港を出発、同日23時23分に羽田空港へ到着した。翌18日の午前0時50分に羽田空港を出て、午前2時15分にJAXA相模原キャンパスに到着した。
カプセルの入った輸送用のケースは、JAXA相模原キャンパス内にあるキュレーション設備(正式名称「惑星物質資料受け入れ設備」)で開封された。その後、カプセルは二重の袋に包まれたまま一旦JAXAの調布航空センターへ運ばれ、X線CTスキャンによる非破壊検査が1mm間隔で行われた。その結果、カプセルの中心にあるサンプルコンテナ(画像3枚目)のふたのシールなどに異常がないことが確認された。
この後、サンプルコンテナは、真空掃除機などによる洗浄を経て、専用の開封機構(画像4枚目)にセットされたままキュレーション設備へ移動して開封され、サンプルの有無の確認が始まる。
もしコンテナ内部にサンプルが採取されていれば、サンプルキャッチャーを傾けてサンプルを石英の皿に取り分けたり特殊なヘラでかき出したりする。小惑星「イトカワ」のサンプルはかなり微小なものである可能性が高く、必要に応じて微細作業装置(マイクロマニピュレータ)が使用される可能性もあり、顕微鏡を使った回収には時間がかかるとみられている。取り出されたサンプルは、北海道大・茨城大・東京大・首都大学東京・大阪大・岡山大・九州大の研究者などで構成される初期分析チームに配布され、詳しく分析される。
なお、カプセルと対面したプロジェクトマネージャーの川口淳一郎教授の記者会見におけるコメント(要約)がJAXAから発表されたので、以下に紹介しよう。
《川口淳一郎教授のコメント》
7年ぶりにカプセルと対面しましたが、まるで新品のようでした。2007年に閉めたふたは、本当に閉まっていて良かったです。まるでタイムカプセルのようです。
地球から60億km、相模原を母港とすると、母港へ一周して戻ってきました。非常に感慨深いものがあります。
皆さんと一緒に取り組んできましたので、皆さんが祝福されるべきだと感じています。