「MINERVA-II1」のローバーを「イブー」「アウル」と命名
【2018年12月17日 JAXA】
「MINERVA-II1」の2機のローバー「Rover-1A」「同1B」は9月21日13時6分(日本時間)に「はやぶさ2」から分離され、ともに小惑星リュウグウの表面に着地することに成功した。12月13日の記者説明会で、「Rover-1A」が「イブー(HIBOU)」、「Rover-1B」が「アウル(OWL)」と命名されたことが発表された。
「hibou」はフランス語でミミズク、「owl」は英語でフクロウを意味する。「はやぶさ」初号機に搭載された小型機「MINERVA」やその後継である「はやぶさ2」搭載の「MINERVA-II」は、ローマ神話に登場する知恵の女神ミネルヴァにちなんで名付けられたものだが、芸術の世界ではミネルヴァの聖なる動物または知恵の象徴としてフクロウがミネルヴァとともに描かれることから、今回2機のローバーにこの名が付けられたという。また同時に、「HIBOU」は「Highly Intelligent Bouncing Observation Unit」(高度にインテリジェントなバウンド移動観測ユニット)、「OWL」は「Observation unit with intelligent Wheel Locomotion」(インテリジェントなホイール移動機構を持つ観測ユニット)の略語にもなっている。
2機のローバーは、リュウグウ上での太陽日(約7.6時間。1 Sol(ソル)とも呼ぶ)で数えて、「イブー」は着地から113日目(10月26日)、「アウル」は10日目(9月24日)まで、テレメトリ(ローバーの状態を表すデータ)や画像を送信してきた。この日までに「イブー」は200枚以上、「アウル」は38枚の画像を撮影している。これ以降は両機ともに、電源がオンになったことを示す信号はときおり受信できるものの、テレメトリの受信には至らない状態が続いている。運用チームでは、両機とも日影に入るなどして電力が不足しているものと推定している。
JAXA宇宙科学研究所研究総主幹の久保田孝さんは、「当初、『MINERVA-II』の活動期間は(リュウグウの太陽日で)7日間程度と考えていたが、リュウグウの表面に砂がないために太陽電池の発電量の低下が少なく、またリュウグウ表面の温度も予想よりやや低かったためにコンデンサーの劣化もあまりなかった。このために予想よりも長く活動できたようだ」とコメントしている。
今後、リュウグウの季節が変わって日照条件が変化すれば「イブー」「アウル」が再び活動できる可能性もあるため、運用チームでは年明け後に運用を再開することにしている。
(文:中野太郎)
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