「はやぶさ2」リュウグウ着陸は2月22日朝
【2019年2月7日 JAXA】
「はやぶさ2」のリュウグウへの第1回タッチダウン(TD1)について探査機の運用チームでは、リュウグウの表面に岩塊がきわめて多いことから、安全に着陸できる候補地をこれまで慎重に検討してきた。1月の段階では、リュウグウの赤道部分にある「L08-B1」と「L08-E1」という2つの地域に候補が絞られていた。
その後の最終検討により、10月の着陸リハーサルで投下したターゲットマーカーに近く、岩がより少ない「L08-E1」に着陸することに決まった。広さは直径6mほどで、「はやぶさ2」の太陽電池パネルの幅とほぼ同じ程度だ。
この狭い場所に確実に着陸するため、今回の着陸では「ピンポイントタッチダウン」と呼ばれる誘導方法を用いるという。これは、すでにリュウグウ表面に投下済みのターゲットマーカーをカメラの視野内に捕捉し続けることで、マーカーから指定の距離・方向にシフトした場所へ着陸するというものだ。
当初は、着陸のための降下中にターゲットマーカーを投下して、落ちていくターゲットマーカーをカメラの視野中心にとらえ続けることでマーカーの真上に着陸するという方法を予定していた。これは初代「はやぶさ」の誘導方法と同じだが、この方法だと誘導精度がターゲットマーカーの投下の精度で決まってしまうため、±数mという高い誘導精度を実現するのは難しい。そこでTD1ではピンポイントタッチダウンを採用することになった。
現在の計画では、「はやぶさ2」は2月21日8時32分(日本時間、地球での時刻。以下同)に高度20kmのホームポジションから降下を始め、翌22日8時15分にリュウグウに着陸する。表面に数秒間接地してサンプルを採取した後、機体は上昇する。
着陸の約50分前から約7分後までは機体の姿勢を地形に合わせて傾けるため、この間は「はやぶさ2」の高利得アンテナ(HGA)は使えず、探査機の状態や画像などを受信することはできない。ただし、探査機の速度が変われば電波の波長がドップラー効果で変わるため、探査機が下降から停止、上昇に転じる様子は確認できる。上昇後に高利得アンテナを再び地球に向け、一連のタッチダウンの成否をデータで確認できるのは9時ごろになるとみられる(※上記の各時刻は±30分程度ずれる可能性がある)。
地上時刻(日本時間) | 項目 |
---|---|
2月21日 07:13 | 降下開始の可否判断開始 |
2月21日 08:32 | ホームポジションから降下開始 |
2月21日 18:52 | 降下継続の可否判断開始 |
2月21日 18:52 | 減速して降下継続 |
2月22日 06:02 | 最終降下判断(GO/NOGO判断)開始 |
2月22日 07:27 | 高度45mで高利得アンテナ(HGA)から低利得アンテナ(LGA)に切り替え |
2月22日 08:15 | タッチダウン |
2月22日 08:15 | 上昇確認開始 |
2月22日 08:22 | LGAからHGAに切り替え |
2月22日 08:22 | 探査機状況確認開始 |
2月22日 18:27 | ホームポジション復帰ΔV確認開始 |
「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーの津田雄一さんは、「高い精度での着陸を実現するため、当初予定していた±50mの誘導精度であれば気にしないような項目まで、非常に細かく検討し、着陸地点と着陸方法を確定しました。あとは計画通りにやるため全力を尽くしたい。気合や意気込みだけで成功できるものではないので、頭の温度を下げてクールにやろうと思っています」と語っている。
(文:中野太郎)
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