すばる望遠鏡、「はやぶさ2」の次の目標天体を撮影

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すばる望遠鏡が小惑星「1998 KY26」をとらえた。この小惑星は12月6日に地球にサンプルを届けた探査機「はやぶさ2」が拡張ミッションで2031年到着を目指す天体だ。

【2020年12月23日 すばる望遠鏡

小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウのサンプルを12月6日に地球へ届けた後、残った燃料を活用した拡張ミッションに向けて地球を再出発した。目指すのは小惑星「1998 KY26」で、2031年に接近して観測を行うことが計画されている(参照:「地球帰還後の「はやぶさ2」は2031年に小惑星1998 KY26へ」)。

「はやぶさ2」を正確なコースに誘導し1998 KY26に向けて飛行するうえでは、目標天体の軌道を精度良く調べることが何よりも重要となる。1998 KY26は2020年12月中旬から下旬にかけて地球へ約7000万kmまで近づき、およそ3年半に1度という観測の好機を迎えているものの、直径が推定30mと小さくとても暗いため、大型の望遠鏡を使わなければ地球からの観測は困難だ。

その1998 KY26の観測が、米・ハワイのすばる望遠鏡によって行われた。1998 KY26はふたご座の方向に約25等級の光の点として撮影されている。また、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTでも観測が実施された。

1998 KY26
すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」がとらえた「1998 KY26」(2本の水色の線が交わる位置にある点光源)。2020年12月10日2:04~2:16(ハワイ時間)に取得された2分露出の画像を5枚重ねて処理。画角は30秒角(満月の直径の約60分の1)×15秒角(提供:国立天文台)

「『はやぶさ2』が次に目指す小惑星『1998 KY26』はとても小さい天体ですが、これほど小さい小惑星はまだ探査されたことがないため、惑星科学的にも、またプラネタリーディフェンス(天体の地球衝突問題)の上でもたいへん注目されています。今回の観測は『はやぶさ2』の拡張ミッションにとって非常に貴重なデータになっただけでなく、今後のミッションの弾みともなりました。すばる望遠鏡の皆様に感謝いたします」(JAXA宇宙科学研究所「はやぶさ2」ミッションマネージャ 吉川真さん)。

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