大マゼラン雲の星団中に見つかった、若すぎる星
【2017年3月10日 RAS】
星団に含まれる星々は、共通の材料からおよそ同時期に誕生したものと考えられている。したがって、星団の星の年齢や化学組成はだいたい同じであると考えられ、その仮定をもとに恒星進化のモデルが作られ、質量の違いが星の進化にどのように影響するかが研究されてきた。
豪・電波天文学研究国際センターのBi-Qing Forさんたちの研究チームは、天の川銀河から16万光年離れたところにある隣の矮小銀河、大マゼラン雲の星々について、星団の位置と数千個もの若い星の位置とを照合した。そして、同じ星団に属していながら、他の星よりもはるかに若い星の候補を15個発見した。
これらの若い星は星間空間から星団へと入ってきたガスが材料となって形成された可能性も考えられたが、電波望遠鏡による観測によって星の材料となる星間水素ガスと星団の位置との間に関係がないことが示され、その説は否定された。「やはり若い星は、星団中の古い星が放出した物質を材料として誕生したと考えられます。つまり、一つの星団中に複数世代の星が存在することを発見したのかもしれません」(同センター 戸次賢治さん)。
星の周囲を大量のガスや塵が取り囲んでいるため、現在のところ光学望遠鏡では観測できない。星が成長し、周囲のガスや塵が吹き飛ばされれば、ハッブル宇宙望遠鏡のような強力な手段で星を観測できるようになるだろう。そうすれば、本当に若い星と年老いた星の両方が星団中に存在していることが確認できるはずだ。
「もし、わたしたちの発見が示唆しているように、『星団の星は年齢が大体同じである』という従来の仮定が間違っているとすると、これまでの恒星進化モデルに見直しと修正が必要となるでしょう」(Forさん)。
〈参照〉
- RAS: Star cluster discovery could upset the astronomical applecart
- MNRAS:A discovery of young stellar objects in older clusters of the Large Magellanic Cloud 論文
〈関連リンク〉
- HubbleSite: http://www.hubblesite.org
- Spitzer Space Telescope: http://www.spitzer.caltech.edu/
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