「はやぶさ2」、3回目のイオンエンジン長期連続運転を開始
【2018年1月11日 JAXA】
2014年12月に打ち上げられた探査機「はやぶさ2」は、今年7月に目標天体である小惑星「リュウグウ((162173) Ryugu)」へ到着する予定となっている。これまでの約3年で28億kmを航行しており、1月11日時点で「はやぶさ2」からリュウグウまでの距離は350万kmを切っている。
その「はやぶさ2」がイオンエンジンの長期連続運転を1月10日14時(日本時間)に開始した。今回のエンジン運転は、2015年11月の地球スイングバイ後(「『はやぶさ2』が地球スイングバイ」)としては3回目となる長期連続運転で、6月上旬頃までに約2700時間実施される予定となっている。これにより、秒速約400mの加速を行うことになる。
「はやぶさ2」プロジェクトのウェブページにはリュウグウまでの距離を示すカウンターが表示されており、数字は刻々と小さくなっている。今後約5か月間にわたるイオンエンジン連続運転が無事に実施されれば、いよいよリュウグウは目の前だ。今回の連続運転は「はやぶさ2」ミッションにとっての重要な節目の一つとなるだろう。
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