銀河中心の光度変動は2つのホットスポットの公転で説明できる

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天の川銀河中心のブラックホール「いて座 A*」が約30分と50分の時間スケールで光度変動を起こしたデータが見つかった。2つの「ホットスポット」が公転しながらエネルギーを失うことで生じた現象かもしれない。

【2026年6月30日 慶応義塾大学

天の川銀河の中心には、太陽の400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール「いて座A*」が存在する。2000年初頭、いて座A*のフレアに伴う、周期が徐々に変化する準周期的な光度変動が初めて報告された。このフレアの発生メカニズムとして、いて座A*周囲の降着円盤内で加熱されたガスの塊「ホットスポット」をはじめ、様々なモデルが提唱された。

実際に2018年には赤外線観測から、いて座A*周囲を公転するホットスポットが観測された。また、2025年にはミリ波帯で、顕著な周期的な明るさの変化が報告された(関連ニュース:天の川銀河の中心ブラックホール「いて座A*」の瞬きを検出天の川銀河中心で光速の30%で回るガス塊)。

慶應義塾大学の柳澤一輝さんたちの研究チームは、アルマ望遠鏡がミリ波で観測したいて座A*のデータを詳細に分析し、ミリ波帯の時間変動とホットスポットの運動との関係を調べた。その結果、約30分および約50分という特徴的な時間スケールを持つ光度の短時間変動が見つかった。

光度曲線
ホットスポットモデルで再現された光度曲線。(青)観測データ、(赤)ホットスポットモデルで再現された全体の光度変動。(オレンジ・緑)各ホットスポットに対応する光度変動成分(提供:(K.Yanagisawa et al.))

この変動は、2つのホットスポットがエネルギーを徐々に失いながら、それぞれ光速の40%と30%程度の速さで超大質量ブラックホール周囲を公転することで生じている可能性があるという。また、こうした特徴的な変動が確認されたのは一部の観測データに限られていて、常に現れるわけではないことも明らかになった。

ホットスポットの模式図
天の川銀河中心ブラックホール周囲を公転するホットスポットの模式図。初めは1つのホットスポットがブラックホールの周囲を公転し、その後2つ目のホットスポットが出現する。両ホットスポットは公転を続けながら徐々にエネルギーを失っていく(提供:慶応義塾大学リリース)

これらの結果は、超大質量ブラックホールの光度変動が複数のホットスポットの回転と、それらの発生・減衰・消滅という一連のプロセスによって引き起こされている可能性を示唆している。

従来、ブラックホールの光度変動については、周期的変動と不規則な変動とで別々の原因があると考えられてきた。しかし今回の研究では、両方の結果を一つのホットスポットモデルによって統一的に解釈できる可能性を初めて観測データから示した。ブラックホール近傍の物理環境を理解するための重要な手がかりとなるかもしれない。

今回のモデルを今後の高精度観測と組み合わせることで、ブラックホール周囲の構造をより詳しく解明できると期待される。一方で、ホットスポットがどのように生まれ、進化・消滅していくのかという詳細なメカニズムについては未解明な点が多く、今後の課題として残された。

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