若い宇宙の早熟な銀河 131億年前の銀河に塵
【2015年3月5日 アルマ望遠鏡/ヨーロッパ南天天文台】
デンマーク・コペンハーゲン大学のDarach Watsonさんらは、南米チリにある超大型望遠鏡(VLT)とアルマ望遠鏡を用いておとめ座の銀河「A1689-zD1」を観測した。この銀河はこれまでに見つかった中で最も若く、最も遠方の部類のものだ。観測の結果、A1689-zD1は予想よりはるかに進化したものであることがわかった。天の川銀河のようにひじょうに成熟した銀河と同程度の塵が含まれていたのだ。塵は、惑星や普通の星や複雑な分子を形成したりするのを助けるため、いわば生命のもとといえる。
私たちが見ているA1689-zD1の姿は、宇宙年齢がまだ約7億歳だった時(現在から約131億年前)のものだ。この時代は、中性だった宇宙が最初期の星々の光によって電離され「宇宙の暗黒時代」が終わりを告げる、「宇宙の再電離」の最中にあったころと考えられる。したがって銀河のまだ幼いころの姿が見えると期待されたのだが、意外にも銀河は遠赤外線でひじょうに明るく、多くの星が生まれ、それにともなってかなり多量の重元素が生成されていることが示された。また、塵が検出されただけではなく、そのガスと塵の比率が、より成熟した銀河のものと同程度の値を示していることもわかった。
「この銀河の塵の正確な起源ははっきりしないままですが、私たちの発見は、宇宙で星の形成が始まった後わずか5億年以内に、塵の形成がひじょうに迅速に起こることを示しています。ほとんどの星が数十億年の寿命を持つことを考えると、これは宇宙的に見てひじょうに短い時間スケールでの出来事だといえます」(Watsonさん)。
この発見は、A1689-zD1が、ビッグバン後5.6億年が経過して以降継続的に一定の割合で星を形成しつづけてきたか、あるいはとても短い間に極端なスターバースト(爆発的星形成)の時期を迎え、その後星の形成活動が衰えたか、のいずれかの事実を示している。
〈参照〉
- アルマ望遠鏡: 若い宇宙の早熟な銀河:131億年前の銀河に塵を発見
- ヨーロッパ南天天文台: An Old-looking Galaxy in a Young Universe ALMA and VLT probe surprisingly dusty and evolved galaxy
- Nature: A dusty, normal galaxy in the epoch of reionization 論文
〈関連リンク〉
- アルマ望遠鏡: http://alma.mtk.nao.ac.jp/
- ヨーロッパ南天天文台(ESO): http://www.eso.org/
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
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