本誌各号の編集後記を掲載。
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■2001年1月「M78ってウルトラマンの故郷ですよねえ。ちょっと教えて欲しいんですけど…。」 それは、そんな1本の電話から始まった。電話の主は国営放送局N○○の学校放送局に勤務するMディレクターだった。数年前にある特番でおつき合いさせていただいて以来のこと。大阪転勤、海外勤務とだんだんと疎遠になり、その行方は年賀状のやりとりが途絶えた年から分からなくなっていた。聞けば、再び東京勤務になり、当社から目と鼻の先にある局舎にいるという。懐かしさを覚えながら話を聞いてみると…。 ちょっと無理があるなあと思いながらも、協力することにした。M78よりも、最新型のスーパーハープカメラに興味を持ったのがその理由だ。何でも従来型より数百倍も感度がいいというのだ。実際のロケは群馬県で行なうということだったが、とりあえずその日のうちにN○○へ向かい、東京の夜空で撮影テストをすることにした。 「これは、こと座の環状星雲M57。ドーナツ状の広がりが写るね。東京の夜空も捨てたもんじゃない」 肉眼では2等星がやっとの空なのに、モニタにはたくさんの星が写し出されている。広角で撮れば星座の形もしっかり分かるし、ビデオ映像だからこと座全景から環状星雲へのズームアップも迫力十分だ。二重星団やプレアデス星団などは美しいの一言。 今月紹介した、お台場など都会の観光スポットだって、邪魔な光を遮ってやれば、星座の形を肉眼でたどることができる。都会の夜空は余計な星が見えない分、初心者の星座めぐりに最適だったりするのだ。 ところで、M78だが、インターネットで調べてみると海外ではいろいろな論文が発表されていて、じつに興味深い領域であることが分かった。M78の中に見える3個の星の位置関係やそれが誕生後数百万年程度の若い星であること…などなど。興味のある人はぜひ調べてみて欲しい。
編集長 大熊正美
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