編集後記


本誌各号の編集後記を掲載。

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■2002年1月

その夜、親と子は夜空を見上げて声にならない声をあげながら頭上で繰りひろげられる流星の乱舞に酔いしれていた。放射点がどこにあるのか流星の軌跡を逆にたどる必要もなく、まさに雨のごとく流星が降り注ぐさまは美しさを通り越して、恐怖さえ感じさせるほどの迫力であった。

 しし座流星群の夜、小学5年の子供を連れて南房総の先端へと車を走らせた。そして、いつもの観測場所へ…ところが、だだっ広い原っぱだったはずのポイントには新しい家が建ちならび、灯りが煌々と輝いていた。もともと分譲地だったのだからいつかはこうなると覚悟はしていたのだが……こうして、日本各地から星空の見えるポイントがどんどん減っていくのだろう。致し方ないこととはいえちょっと残念である。

 とりあえず次のポイントへと移動した。海に面した最南端の駐車場で、あの百武彗星が来たときに60度を超える長い尾を見た場所だ。しかし…ここも…道路に沿って明るい水銀灯がならび暗黒の星空を隠してしまっていた。夜になれば1時間に数台しか車が通らないような道路に水銀灯を設置するなどナンセンスだと思うのだが(実際にこの夜、この道路を通過した車は10台ほど)文句をいってもはじまらない。水銀灯の光を手でさえぎれば、そこには天の川の見える星空が広がっている。

 寝転がった時に水銀灯からの光が来ないようにと、機材用のアルミケースと車用のサンバイザーを使って簡単なバリケード(?)を設置してみたら実に快適。これからは、こんな工夫も必要かも。

 ビデオカメラを設置する間にも流星が飛び、寝転がった息子が歓声をあげる。ビデオを録画状態にしたところで自分も寝転がって空を見上げた。放射点の低い23時から24時台にかけては、大気に浅い角度で突っ込んでくる明るく経路の長い流星が多く、見事な眺めであった。そして数が増えていくにつれ経路自体は短く…。はじめのうち一生懸命に数を数えていた息子も300個を超えるあたりから、あまりの多さにカウントを断念…同時に5個も10個も飛ぶのでは数えられる訳もない。唖然としながら見上げるしかなかった次第。

 ビデオには3等クラスの流星まで写り込み見事だ。水平線方向へ向けて低空を流れる流星を狙ってみたが、まさに雨のごとく降る流星のようすを記録できた。

 午前4時ころカミさんから電話があり、原宿でも30分間で50個を超える流星が見えたとのこと。この夜、日本各地でたくさんの人が歓声を上げたことだろう。

 来年はアメリカへ行くぞと心に決めたのだが、さて一緒にツアーに参加してくれる人はいますかねえ?

編集長 大熊正美

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