本誌各号の編集後記を掲載。 | |
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■2004年11月GPSで時刻を知る 遠く離れた人と、同時に同じ星を観測していると、心がつながるというか、妙な連帯感が湧いてくるものである。しかしこの「同時に」ということをものすごく厳密に考えていくと、簡単なようで難しい。最近では携帯電話で会話しながら観測、ということもあるだろうが、携帯の音声にも若干の遅れはあるし、朝に合わせた時計が夕方どれだけ狂うかは、時計によってまちまちだ。電波時計とて誤差はある。 それぞれの観測者が正確な時計を持つということは、天体観測、とくに天体が他の天体を隠す掩蔽(えんぺい)の観測ではとても重要だ。前号で紹介した「小惑星による恒星食」の観測もその一例で、複数の地点で星が消える瞬間(潜入)と現れる瞬間(出現)の時刻を正確に測ることで、面白いことがいろいろとわかる。 科学史の本を眺めていたら、今年は携帯時計が作られてからおよそ500年ということらしい(およそ、というのは1504年ころ、と書いてあったから)。当時ドイツの錠前職人のヘンラインは、ぜんまいを組み込んでポケットに入れて携帯できるくらいの小型の時計を作り上げた、とある。この携帯時計は、航海のとき一定の期間、時計を動かし続けなければならない船乗りなどに重宝がられるようになったという。 それから500年後の現在、どこにいても正確な時刻を知るためには、ぜんまいに代わって人工衛星(GPS衛星)からの電波を利用できるようになった。もしかすると未来の歴史書には、「当時、衛星からの電波を利用した方法は、どこにいても正確な時刻を知りたい天文アマチュアに重宝がられるようになった」などと書かれたりして!? この号が発売される直前の10月3日の明け方には、小惑星ルーメンによる恒星食という、比較的条件の良い現象がある。12月にも他の小惑星による好条件の現象が予報されている。詳しくは10月号や星ナビのホームページをご覧いただきたい。編集部でもパソコンにつなぐGPS受信機を携えて、晴れそうな場所まで車を走らせる予定だ。
10月号で紹介したGPS受信機のセットは、アストロアーツのオンラインショップで販売を開始したところ、注文が殺到して人気商品となっている。予約注文はお早めに。
(編集長・大川)
☆アストロアーツオンラインショップはこちら → http://shop.astroarts.co.jp/
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