編集後記


本誌各号の編集後記を掲載。

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■2001年7月

 火星がずいぶん明るくなってきた。火星には不思議な魅力があると思うのは私だけ?と、先月号の編集後記に書いたら、多く(ってほどでもないけど)の方から賛同の電子メールをいただいた。みなさん、その理由はバラバラなのだが、火星に思い入れを持っているのが私だけではないことが分かって、ちょっと安心した。

 さて、今月号では火星を楽しむためのさまざまなアプローチのしかたをお届けしたが、その中で「火星の2つの衛星(フォボスとダイモス)を見る」という記事を作るにあたって、本当に見えるかどうかをチェックすることにした。

 まずは、オッカルティングアイピース作りからスタート。とはいっても難しいことはなく、台所にあったアルミホイルを短冊状にカットし、両面テープで貼り付けただけ、ものの15分でケルナー25ミリに装着完了。インターネットで調べた衛星の最大離角の時刻にあわせて屋上のドームに上がり、火星に鏡筒を向けてみた。が、全く見えない。倍率が低すぎるのかと思いプローセル13ミリとプローセル7ミリにもアルミホイルを貼り付けようと工作を始めたが、これが難航、視野絞りが小さく作業しにくいこと…。結局、その日は衛星を確認することなく、火星は隣のビルの向こうに沈んでしまった。その日から火星との格闘が始まったのだが、天気が悪かったり衛星の位置が悪かったりで、なかなか確認できない。

 見えなきゃ記事が成り立たないし、締め切りは迫ってくるし、気持ちは焦るもののこればかりは仕方がない。雨の夜には、アイピースの改良にいそしみ、誌面でも紹介した、ナグラー9ミリにNDフィルタを組み合わせた「火星衛星観望スペシャル」も準備した…。

 そして、5月14日午前3時。ついにダイモスを確認することに成功した。はじめて見たダイモスは気流が良くなる瞬間にポツンと見えすぐにふわっと消える、のくり返しで、ちょうど点滅しているような感じに見えていた。

 衛星を見るためには、火星表面の模様を見るのと同じで、気流の良い日であることも重要な要素だと再確認した次第。挑戦してみようという方は一度で諦めずに、くり返しがんばってみて欲しい。ちなみにこの日、フォボスは確認できなかった。

編集長 大熊正美

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