本誌各号の編集後記を掲載。
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■2001年6月仕事で帰りが遅い日に、オフィスから自宅まで“深夜の散歩”をすることがある。途中の大きな公園をショートカットすれば、約30分間のお散歩コースだ。時間外の入園は禁じられているが、門がしっかり開かれているためか、深夜にもかかわらずジョギングしている人や、犬の散歩をする人などと良くすれ違う。 で、ここが意外と星が良く見える穴場だったりするのだ。園内に植えられた木々が、周囲の街灯やらネオンの光やらをしっかりと遮ってくれるせいか、空のすんだ冬の夜なら、肉眼で4等星まで見えるので、星座の形をたどることもできるし、双眼鏡を使えば明るい散開星団を楽しむこともできる。もちろん、大っぴらにお勧めできることではないが、私にとってはつかの間の“星見タイム”だ。 先日、公園の周回道路を歩いていたら、中央の広場に赤い光が見えた。目を凝らして見ると、2〜3人で空を指差しながら何やら話しているような雰囲気。 「赤…い星…何?…本に…ないよ」 大人の声に混じって、子供の声も聞こえてきた。子供が一緒なら危険はない(最近はそうでもない?)と判断し、近づいてみると…家族で星見の真っ最中だった。 身分を明かし、話を聞いてみると、公園の近くに住む家族で、小学生の子供にせがまれて、ときどきここにやってくるという。 子供の手には、初心者向けの星座解説書が握られていた。 その時、私はマリナー4号が火星のクレーターを発見した1965年夏のことを思い出していた。当時小学生だった私は、1971年に起きる大接近の時には火星クレーターが肉眼で見れるほど大きく見えると思っていたのだ。 1971年、望遠鏡を使ってもクレーターが見えないことを自分で確認した。そして、バイキングによる画像を見て望遠鏡では叶わないと諦めたはずの1988年の大接近の時にも我が家の望遠鏡は火星に向いていた。 火星には不思議な魅力があると思うのは私だけ? 次回の大接近は2003年だが、今年の火星もそれに負けないくらい大きい。今年の火星は、彼にはどのように見えるのだろうか。
編集長 大熊正美
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