編集後記


本誌各号の編集後記を掲載。

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■2003年2月

■編集の仕事は、締め切りと発売号の関係から、実際にはふた月先の天文現象や星空解説を扱うことが多い。当然、未来の天文現象や星座の見え方をステラナビゲータで確認しながら書くことになる。その原稿を書き終えて家路につくと、終電から降り立ったときにはもう午前0時を回ってしまっている。そしてふと見上げた夜空には、さっき自分で書いたとおりの、未来の星空が拡がっていることに気がつく。

 この種明かしをすると、午前0時の星空は、ふた月先の午後8時の星空と同じ配置になっているからで、深夜にはもう次の季節の星座が見られるというわけだ。

 今月号の特集「冬の星さがし」では、終電帰りのお父さんを描いたが、まさにこれが自分の星見スタイルで、「終電星見」と編集部では呼ばれている。ふつう「季節の星座」というときには、午後8時から9時ころの星空を想定して、南天に見える星座をそう分類しているわけだが、外に出るのが深夜になる自分にとって季節の星座とは「西に沈みかけている」星座ということになる。ついでにいえば東天にはもう次の季節の星座が昇っていて、原稿のネタを思い付くのにちょうどいい。たまに午後8時に星を見てみると、ふだん見なれている状態とは位置がまったく違うので、シリウスがどこにあるのかさえまごついてしまい、かえって困る。

 世のいそがしいお父さんにとって、午後8時に星見をすることなど、なかなか望めないことであるので、ここはひとつ発想を変えてみよう。「終電星見」を季節を先取りする星見として考えれば、春休みや夏休みに子どもを相手にして星空を解説するときの予行演習に使えるし、また、先々の遠征星見のイメージトレーニングや機材テストにも。

 とはいえ、住宅地の道のまん中で双眼鏡を持ち出すと「不審人物」になってしまうので、それは家に帰ってからベランダで「ホタル族星見」のときに。ちなみに、先日の「ふたご座流星群」の晩は、ホタル2本のあいだに流星10個を見ることができた。

編集/寺


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