編集後記


本誌各号の編集後記を掲載。

▼2005年
▼2004年
▼2003年
▼2002年
▼2001年
▼2000年

■2003年10月

 「…今年は6万年ぶりに火星が接近し…」(おいおい、6万年に一回しか接近しないと勘違いしてないか?)「…8月27日18時51分12秒…」(27日しか見えないと思ってるだろ。南東の空に今まさに見えてるぞ)などと思わず心の中で(違う!)と言いたくなるようなアナウンスが耳に入る。自宅近くのマイナーな花火大会でのことだ。

 国立天文台天文ニュースによると、地球の大きさや火星からの光の到達時間、太陽の引力による相対論的効果まで考慮した東京での最接近の瞬間は27日23時27分28秒だという。きっと(「最」にこだわる)新聞社やTV局から「火星大接近は27日の何時何分になるんですか?」という問合せが何回もあったのだろうが、そんな細かな数値が大きな意味を持たないのは言うまでもない。

 アストロアーツにも新聞・雑誌・TV・ウェブ編集者などから質問や資料提供の問合せが殺到。「ホームページに載っている星図を使いたいんですが…」「アストロガイド火星大接近2003夏の○○ページの写真なんですが…」「星ナビを見たんですが…」とひっきりなしに電話やメールが入る。ある新聞社からの質問に「なんでこんなに(火星大接近が)ブームになるんですか?」というのがあった。「あなたがたが6万年に1度と書くからです」とも答えられず「(数値上は)一生に一度の記録的大接近ですから…」と適度にリップサービスしながらも「27日だけ火星が見えるわけじゃなく、見やすい時刻を考えると9月の方が火星を見るチャンスなんです」「都市部でもマイナス3等の火星は簡単に見つけられ、小さな望遠鏡でもその表面模様がわかる」と強調することも忘れない。

 「売りたくとも倉庫にないんですよ」と、望遠鏡メーカーも生産が追いつかなくなるほどの注文があったと聞いた。27日が過ぎたら終わりではなく、せっかく火星のために買った望遠鏡をちゃんと使ってほしい。そんな意味も込めて今月は「秋の天体」を特集した。

 さてさて、今夜はその火星最接近。あいにく雲りがちだが、編集部屋上に望遠鏡を出すとするか。

(○年ぶりにニコン10センチF12EDを自宅テラスに出した編集人川口記す)

3ヶ月後にはどれだけ散らかるのか……?
前号で発行人が予告していたように、事業拡張増員で狭くなったアストロアーツオフィスの人口過密解消のため9月から編集部は地下活動に移行。
写真は引っ越し前の空洞状態。


前月へ | 戻る | 翌月へ


星ナビ.comトップページへ